編鐘(読み)ヘンショウ

デジタル大辞泉 「編鐘」の意味・読み・例文・類語

へん‐しょう【編鐘】

古代中国打楽器の一。音高の異なるいくつかの銅製の鐘を枠につるしたもので、鐘の数は不定。

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精選版 日本国語大辞典 「編鐘」の意味・読み・例文・類語

へん‐しょう【編鐘】

〘名〙 中国、古代の楽器一つ。春秋時代ごろに出現。音高の異なる銅製の大小種々の鐘を組み合わせて枠につるし、音階を構成する。鐘の数は一六鐘、七鐘、一三鐘、三二鐘など一定しない。〔周礼春官磬師

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普及版 字通 「編鐘」の読み・字形・画数・意味

【編鐘】へんしよう

大小十六の鐘を、二段に配する音階楽器。〔周礼、春官、磬師〕磬をつをへ、縵樂(まんがく)(雑楽)燕樂の磬をふるを掌る。

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改訂新版 世界大百科事典 「編鐘」の意味・わかりやすい解説

編鐘 (へんしょう)
biān zhōng

青銅の鐘を音高の順に鐘架に並べて吊り下げ,槌で打って奏する中国の古楽器。宮廷雅楽に用いられたほか孔子廟における堂下楽で編磬へんけい)()や種々の太鼓,管・打楽器とともに奏された。なお,孔子廟の音楽に用いられた楽器は,現在韓国一式のみほぼ完全な状態で保存され演奏されている。
(しょう)
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世界大百科事典(旧版)内の編鐘の言及

【楽器】より

…インドネシア(ジャワおよびバリ)のガムランは,このように音階をもった金属製打楽器群を主体に編成された大規模なアンサンブルである。また,古代中国および現代の朝鮮半島にみられる編鐘は,音の高さの異なる鐘(しよう)を多数配列した,珍しい金属製打楽器である。 その他の打楽器として,比較的少数の例であるが,古代中国などの磬(けい)のように石を打つものがある。…

【鐘∥鉦】より

…側面から見た〈鐘〉の形状は半円形,半楕円形,三角形,矩形などに近いものがあり,また,花をかたどったり動物などの象徴的な飾りをつけた〈鐘〉も少なくない。
[アジア]
 現在一般に鐘と称されている大型のものは,前1000年ころまでに最も鋳造技術の進んでいた中国で作られたのが始まりで,周代には既に一定の音高に調律された鐘(しよう)が楽器(特鐘,編鐘)として典礼音楽の中に取り入れられるようになっていた。インドでは前6世紀ころからヒンドゥー教で小型の鈴(れい)は音楽に,蓮の花をかたどった大型の鐘は寺院の入口につり下げられて使用されたといわれている。…

【春秋戦国時代】より

…一方,春秋後半に青銅器に金,銀,古ガラスなどを象嵌する技術が開発され,華麗な幾何学文や,狩猟,戦争,饗宴など人間活動を描いた文様が表現されるようになり,装飾的なものとなる。また青銅製の8ないし13個の大小の鐘を一組(編鐘という)として,現在の七音階に近い音階を構成し,さらに幾組もの編鐘によって数オクターブにわたる音楽が演奏された。また多弦の琴や竽(う),笙などの管弦楽器は盛んに使用され,華やかな音楽が饗宴の席などで演奏され,音楽に合わせて歌われる歌謡にも,男女の愛を歌った抒情詩や,天界の霊との交渉を主題としながら濃厚なエロティシズムをもった賦がつくられ,また音楽に合わせた舞踊も盛んであった。…

【随】より

…東槨室内に漆絵が描かれた二重の木製の主棺があり,ともに21個の殉葬者棺と犬棺が1個あった。副葬品は楽器,銅礼器,武器,金器,玉器,漆木竹器,竹簡など7000余点があり,なかでも3層の木製の横木にかけられた,最大が高さ153.4cmある64点の編鐘と鎛鐘1点,編磬32点,鼓,瑟,排簫などの楽器のセットはとくに注目される。また漆箱のふたには青竜,白虎と朱書きされた二十八宿の名称のある図があり,二十八宿の考えが早く中国におこったことを示す。…

【中国音楽】より

…打楽器には,木製雅楽器の(しゆく),(ぎよ),土製の缶(ふ)のほかに,石製の磬(けい),それと多様な青銅製の鐘(しよう),および各種太鼓の類があり,文献にも素材ばかりでなく,大きさ,用途,形態,組合せなどの異なる数多くの名称があげられていて,いかに古代中国人が打楽器を好んだかが分かる。鐘と磬は殷代後期に3個一組として,音高順にならべる編鐘,編磬の祖型ができ,周朝に入って(前12世紀)しだいに数を増した。とくに編鐘は鐘の中央部と脇の2ヵ所から3度関係の2音を出すことで,さらに音をふやし,基準音楽器と旋律打楽器をかねて,非常に重視された。…

※「編鐘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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