線エネルギー付与(読み)センエネルギーフヨ

化学辞典 第2版 「線エネルギー付与」の解説

線エネルギー付与
センエネルギーフヨ
linear energy transfer

LETともいう.荷電粒子が物質中をdl通過し,その際,ある指定された値Δより小さいエネルギー付与をもつ衝突によるエネルギー損失をdEとするとき,

で定義され,単位keV μm-1 である.L が普通の阻止能に等しい.同一の吸収線量に対する生物学的効果の放射線の線質による差異(線質効果)は,近似的にLETの差によると考えられ,線質による効果の差を表す線質係数は,L関数として与えられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の線エネルギー付与の言及

【放射線生物効果】より

… 放射線の生物効果は,放射線の種類(線質),その与えられ方(照射条件),細胞や組織に固有の内的要因,および種々の外的要因(たとえば酸素の有無)によって変更をうける。 放射線が生体を通り抜けるとき,その飛跡に沿って正負のイオン対がつくられるが,イオン対の空間的分布,つまりミクロでとらえた単位飛跡あたりの放射線エネルギーの与えられ方――これを線エネルギー付与,LET(linear energy transfer)という――はX線,γ線,電子(β)線と速中性子,α線などでは非常に異なる。後者は粒子(たま)としてみた場合前者よりも大きく,イオン対のでき方が密で,LETが大きい。…

※「線エネルギー付与」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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