緒方章(読み)おがたあきら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「緒方章」の意味・わかりやすい解説

緒方章
おがたあきら
(1887―1978)

薬学者。緒方洪庵(こうあん)の孫。大坂の適塾旧宅に生まれる。東京帝国大学卒業。長井長義(ながよし)に師事。アミン誘導体の麻酔作用発見により薬学博士。ベルリン大学のヨアヒモグルGeorges Joachimoglu(1887―1979)の下で実験薬理学を研究。1929年(昭和4)東京帝国大学教授。臓器薬品化学講座を創設、薬学に薬理学、内分泌化学、生物化学の領域を開発した。ウシ睾丸(こうがん)からの男性ホルモンの単離や甲状腺(こうじょうせん)ホルモンの研究を行い、とくにウシ耳下腺から化学的にタンパク系唾液腺(だえきせん)ホルモン、パロチンを単離し製品化することに兄の病理学者知三郎とともに寄与した。東京大学名誉教授。中央薬事審議会長、日本薬学会頭、日本薬剤師協会長、内分泌学会長ほかを歴任。著書に『化学実験操作法』(近藤竜(こんどうとおる)(1897―1953)との共著)、『臓器薬品化学』、自伝『一粒の麦』などがある。

[根本曽代子]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「緒方章」の解説

緒方章 おがた-あきら

1887-1978 大正-昭和時代の薬学者。
明治20年10月26日生まれ。緒方洪庵(こうあん)の孫。緒方知三郎の弟。昭和5年母校東京帝大の教授となり,新設の臓器薬品化学講座を担当。わが国における内分泌化学の創始者として知られる。日本薬学会会頭,中央薬事審議会会長,日本薬剤師協会会長。昭和53年8月22日死去。90歳。大阪出身。著作に「化学実験操作法」など。

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