綾錦(読み)あやにしき

精選版 日本国語大辞典 「綾錦」の意味・読み・例文・類語

あや‐にしき【綾錦】

〘名〙
① 綾と錦。
源氏(1001‐14頃)若菜上「御きちゃうよりはじめてここのあやにしきをまぜさせ給はず」
② 美しい衣装やぜいたくな衣服。また、紅葉などを形容していう語。綾羅
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「故おとどおはしまさましかば、あやにしきにまつはれて、生ひ出でたまはまし」
※春夢草(1515‐16)発句「いく村も山は若ばのにしきかな 綾錦など一端二たんをば一むら二村などといへり」
紅色藻類。コノハノリ科の海藻。本州中部以南の低潮線あたりから漸深帯の波の静かな岩上などに生える。体は軟かい膜質で長さ五~一五センチメートルになる。形は変化に富むが、円形葉状で数裂し、先端は網状になる。
④ 江戸時代から明治時代頃まで行なわれた女性の髷の形の一つ。

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デジタル大辞泉 「綾錦」の意味・読み・例文・類語

あや‐にしき【×綾錦】

綾と錦。
美しい衣服や紅葉などをたとえていう語。「綾錦をまとった秋の山々」
コノハノリ科の紅藻。本州中部以南の静かな海の岩上にみられ、扇形に広がり、水中では白っぽい藍緑色、乾くと鮮紅色になる。

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普及版 字通 「綾錦」の読み・字形・画数・意味

【綾錦】りようきん

あやにしき。〔三国志、魏、夏侯玄伝〕今百王の末、秦・の餘を承け、世俗彌(びぶん)、宜しく大いに之れを改め、以て民を易(か)ふべし。今~位大將軍より以上、皆綾錦・羅綺(らき)・素(ぐわんそ)、金銀鏤(しよくる)の物をするを得しめん。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「綾錦」の解説

あやにしき【綾錦】

宮崎日本酒。酒名は、平安中期の歌人和泉式部が綾(宮崎市に隣接する東諸県郡綾町付近)の山頂からの美観を「金銀綾錦」と讃えた故事由来大吟醸酒純米酒などがある。全国新酒鑑評会で受賞実績多数。仕込み水は「名水百選」指定の「綾の湧水」。蔵元の「雲海酒造」は昭和42年(1967)創業そば焼酎の製造元としても有名。所在地は宮崎市昭栄町。

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デジタル大辞泉プラス 「綾錦」の解説

綾錦(あやにしき)

宮崎県、雲海酒造株式会社の製造する日本酒。全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴がある。

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世界大百科事典(旧版)内の綾錦の言及

【ツル(鶴)】より

…〈焼野の雉子(きぎす),夜の鶴〉といわれるように,鶴は子に対する愛情の深い鳥として知られるが,〈鶴子明神〉や〈鶴の宮〉の伝説では,鶴の夫婦愛の強さが話の重要なモティーフになっている。昔話では〈鶴女房〉がとくに有名で,人間から受けた恩に報いるために,わが身から抜き取った羽まで織り込んだ綾錦という反物をつくっている。また,鶴は福をもたらす鳥として認識されたので,鶴の導きによって発見されたという由来譚をもつ温泉が各地に点在する。…

※「綾錦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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