綴錦(読み)つづれにしき

精選版 日本国語大辞典 「綴錦」の意味・読み・例文・類語

つづれ‐にしき【綴錦】

〘名〙 強く張った経(たていと)に太い独楽撚(こまより)絹糸を一本、緯(よこいと)にはもっと太い彩糸を三本という割合で構成し、花・鳥・風物・人などを織り出した錦。ふつうは平織(ひらおり)で、中国の織成(しょくせい)西欧タペストリー同類遺品は上古にも見えるが、近世京都西陣で初めて製作され特産となる。袱紗(ふくさ)、袋物、女帯や壁掛けなどに用いられる。つづれ。つづれおり。つづれのにしき。
※機織彙編(1826)三「衲錦(ツヅレニシキ)

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「綴錦」の解説

綴錦[染織]
つづれにしき

近畿地方滋賀県地域ブランド
守山市で製作されている。室町時代に中国から伝えられたという。鑢で鋸刃のような指頭の爪を整え、その爪で下絵をみながら模様を織り込んでいくもの。近年は、緞帳やタペストリーなどもつくられている。滋賀県伝統的工芸品

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デジタル大辞泉プラス 「綴錦」の解説

綴錦

滋賀県守山市、米原市中心に生産される織物。県の伝統的工芸品。

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世界大百科事典(旧版)内の綴錦の言及

【毛織物】より

…ギリシアの詩人ホメロスは羊皮や羊毛の紡織をうたい,ギリシア彫刻によると羊を飼っていたことがわかる。かつてギリシアの植民地であった黒海北東岸の遺跡から前4~前3世紀の綴錦(つづれにしき)が出土している。それは鴨文あるいは草花文を横にならべた織文である。…

【綴織】より

…文様織の一つ。綴,綴錦とも称し,中国で剋糸(こくし)(克糸,刻糸),欧米でタピスリーtapisserieと呼称されるものがこれに当たる。一般的な多色の紋織物との違いは,紋織物には原則として緯糸に地緯(じぬき)(地組織をなす糸)と絵緯(えぬき)(文様を表す糸)とがあり,地緯はつねに織物の織幅いっぱいに通し糸として用いられるのに対し,綴織では地緯も絵緯も文様にしたがって必要な部分のみ織りはめられ,地緯が織幅いっぱいの通し糸とならないことにある。…

※「綴錦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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