六訂版 家庭医学大全科 「網膜剥離」の解説
網膜剥離
もうまくはくり
Retinal detachment
(眼の病気)
どんな病気か
網膜が
裂孔原性網膜剥離は網膜に
原因は何か
裂孔原性網膜剥離の原因は、網膜に孔があくことですが、裂孔は何の理由もなしにできるわけではなく、しかるべき前状態ないし原因があります。たいていの場合、網膜裂孔が起こりやすい場所を元々もっている人に網膜裂孔は起こり、そして網膜剥離に至ります。前状態のなかで最も多いのは
網膜裂孔には2つの代表的なでき方があります。最も多いのは後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)(コラム)に伴ってできる
そのほかにも、若年者ではアトピー性皮膚炎、家族性
症状の現れ方
若年者に多い格子状変性内の円孔によるものは、丈の低い網膜剥離がゆっくりと進行します。このタイプでは網膜剥離が周辺部にとどまっている間は症状がなく、剥離が中心近くに達して視野の欠損に気づいたり、中心に達して視力の低下に気づいたりします。前駆症状はほとんどありません。
中高年に多い後部硝子体剥離による裂孔では、丈の高い網膜剥離が急速に進行することが多く、しばしば短時間で視野欠損、視力低下が現れます。飛蚊症(ひぶんしょう)(コラム)、光が走るように見える
検査と診断
網膜剥離自体は、眼底検査で容易に診断できます。網膜剥離の検査では、原因となった網膜裂孔をさがし出すことがとくに重要です。網膜裂孔は眼底の周辺部に起こりやすいので、周辺部は慎重に検査する必要があります。
硝子体出血や白内障などで眼底が見えないこともありますが、その場合は超音波検査、網膜電図(眼底に光をあてて、網膜の反応を電位変化として記録する)検査で網膜剥離の有無を判断します。
治療の方法
ほとんどの場合は手術が必要です。方法は、
最近では、徐々に硝子体手術の割合が増えてきています。網膜剥離がこじれた状態である増殖硝子体網膜症、黄斑円孔による網膜剥離、巨大裂孔による網膜剥離などでは硝子体手術が主に行われます。軽い網膜剥離では網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)(コラム)で治療することもあります。
病気に気づいたらどうする
網膜剥離の治療は急を要することが多いので、すみやかに眼科医に診てもらう必要があります。
河野 眞一郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報