綱館(読み)つなやかた

精選版 日本国語大辞典 「綱館」の意味・読み・例文・類語

つなやかた【綱館】

長唄。本調子。明治二年(一八六九)杵屋勘五郎作曲歌詞は寛保元年(一七四一)上演以来忘れられていた「兵四阿屋造(つわものあずまやづくり)」の台本訂正本名題渡辺綱館の段(わたなべのつなやかたのだん)」。片腕を切り取られた茨木(いばらき)童子が、渡辺綱のおばに化けて綱の館を訪れ、腕を奪い返す。

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デジタル大辞泉 「綱館」の意味・読み・例文・類語

つなやかた【綱館】

長唄。本名題「渡辺綱館の段」。明治2年(1869)3世杵屋きねや勘五郎が作曲。片腕を切り取られた茨木童子が、叔母に化けて渡辺綱の館を訪れ、腕を奪い返す。

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改訂新版 世界大百科事典 「綱館」の意味・わかりやすい解説

綱館 (つなやかた)

長唄の曲名。1741年(寛保1)江戸中村座の《潤清和源氏(うるおうせいわげんじ)》のなかで演じられた大薩摩節(おおざつまぶし)の正本に,1869年(明治2)3世杵屋(きねや)勘五郎(11代杵屋六左衛門)が作曲したもの。羅生門で鬼の腕を切り取った渡辺綱の家に,鬼が綱のおばに姿をかえてあらわれ,腕を取り返すという筋である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「綱館」の意味・わかりやすい解説

綱館
つなやかた

長唄(ながうた)の曲名。正しくは「渡辺綱館(わたなべのつなやかた)の段」。1869年(明治2)3世杵屋(きねや)勘五郎が、1741年(寛保1)江戸・中村座の初演以来埋もれていた『兵四阿屋造(つわものあずまやづくり)』の詞章に手を入れ、節付けをし復活した作品。演奏会用の作品で、渡辺綱に腕を切り取られた羅生門の鬼(茨木(いばらき)童子)が、綱の叔母に姿を変えて物忌み中の綱の館を訪ね、腕を取り返す話。全曲本調子、随所大薩摩(おおざつま)の手法を取り入れ、劇的な音楽構成となっている。

[茂手木潔子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綱館」の意味・わかりやすい解説

綱館
つなやかた

長唄の曲名。正式には『渡辺綱館之段』。明治2 (1869) 年開曲。作曲3世杵屋勘五郎。茨木童子が伯母に化けて渡辺綱の館をたずね,羅生門で斬取られた腕を奪い返すという劇的な内容をもった演奏会用長唄。豪快な大薩摩の曲節を十分に取入れながらも適当に柔らかみをもった変化に富んだ名曲。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「綱館」の解説

綱館
(通称)
つなやかた

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
兵四阿屋造
初演
寛保1.7(江戸・中村座)

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百科事典マイペディア 「綱館」の意味・わかりやすい解説

綱館【つなやかた】

茨木(いばらき)

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