デジタル大辞泉
「続」の意味・読み・例文・類語
ぞく【続】
1 つづき。続編。「正続二巻からなる作品」
2 書名などに付いて、それのつづきのものであることを表す。しょく。「続膝栗毛」「続文章規範」
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つづき【続】
① 同じ
状態や関連が保たれること。また、そういう状態のもの。
※新古今(1205)釈教・一九四六「朝日さす嶺のつづきはめぐめどもまだ霜ふかし谷のかげ草〈
崇徳院〉」
※不意の声(1968)〈
河野多恵子〉「馗一が続きの六畳間のほうへ行きながら、二人に言った」
② 子孫・血統などが、代々続いていくこと。継承すること。
※書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「天孫則ち、言(のた)まはく、汝、生子八十連属(やそツツキ)の裔に、貧鉤、狭々貧鉤」
※大鏡(12C前)一「しかればまづ帝王の御つづきをおぼえて、つぎに大臣のつづきはあかさんと也」
③ 続いていく状態。続きぐあい。つながり方。また、その関係。
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「あた人といふ五文字を、やすめところにうち置きて、ことの葉のつづきたよりある心ちすべかめりなど笑ひ給」
※式之・槐市宛芭蕉書簡‐元祿三年(1690)一月五日「貴様玉句近年つづきおとなしく候」
④ 前から続いている部分。あとに続いている部分。
※枕(10C終)二七六「うれしきもの〈略〉人の破(や)り捨てたる文を継ぎて見るに、同じつづきをあまたくだり見続けたる」
※
虞美人草(1907)〈
夏目漱石〉二「最前小野さんから借りた書物を開いて続
(ツヅキ)を読んでゐる」
⑤ (他の語に付けて用いる)
(イ) 同じ状態が途切れないで続くこと。
※
暗夜行路(1921‐37)〈
志賀直哉〉三「天気続
(ツヅ)きにポクリポクリほこりのたつ白い道を」
(ロ) ある物に、間を置かず続いていること。また、そのもの。
※
拾遺(1005‐07頃か)春・四一「吉野山消えせぬ雪と見えつるは嶺つづき咲く桜なりけり〈よみ人しらず〉」
(ハ) いくつかのものがつながっていること。また、そのもの。「ひとつづきの話」
⑥ 救援すること。応援のために軍を出すこと。
※
上井覚兼日記‐天正三年(1575)二月一二日「乍
レ去、自然俄之続などの時者、役人迄可
レ申由候也」
※
浮世草子・新色五巻書(1698)五「続
(ツヅキ)の内ふづまりなれば、中場立て末を見ぬ」
つづ・く【続】
[1] 〘自カ五(四)〙 (古くは「つつく」か)
① 時間的、空間的に、途切れることなく同じ状態が長く保たれる。長く連なる。絶えまなくつながる。絶えずうけつぐ。継続する。
※源氏(1001‐14頃)
椎本「なよび気色ばみたる
振舞をならひ侍らねば、人づてに聞え侍るは、言の葉もつつき侍らず」
※浮世草子・
西鶴織留(1694)六「爰はひとつはたらきてとおもふ手代はなくて、迚もつづかぬ家なればと」
② 前の物や
事柄に、時間的、空間的な間を置かずに、すぐ後に来る。後に従う。また、前の事柄に時間的な間を置かずに、すぐ後に起こる。連続する。
※
万葉(8C後)五・八〇四「とり都々伎
(ツツキ) 追ひくるものは もも草に せめより来たる」
※
太平記(14C後)一四「又山川判官が郎等二人、
橋桁を渡て継
(ツヅヒ)たり」
③ 切れ目なく他の所につながる。通じる。接する。連絡する。
※源氏(1001‐14頃)明石「いよいよ鳴りとどろきて、おはしますにつづきたる廊に、落ちかかりぬ」
④ 他の
物事の次に位置する。次の位を占める。次ぐ。
つづ・ける【続】
〘他カ下一〙 つづ・く 〘他カ下二〙 (古くは「つつく」か)
① 時間的、空間的に、物や事柄が途切れないように同じ状態を保たせる。
※万葉(8C後)一八・四一三〇「針袋帯び都々気(ツツケ)ながら里ごとに照らさひあるけど人も咎めず」
※
私聚百因縁集(1257)三「即ち世澆て衣食継
(ツヅ)くる事得難し」
② ある事柄を前の物や事柄の時間的、空間的にすぐ後に起こす。
③ ことばを連ねて言う。前の話の続きを述べる。また、ことばを連ねて歌や文章をつくる。書きつづる。
※源氏(1001‐14頃)行幸「山と
うたはあしあしもつつけ侍なむ」
④ ある物を、他の物につなぐ。接続させる。また、物事などを結びつける。関係づける。
※
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年「
折櫃物、籠物どもなど、殿の御かたより、まうち君達とりつづきてまゐれる。勾欄につづけて据ゑわたしたり」
つづけ【続】
〘名〙 (動詞「つづける(続)」の連用形の名詞化)
① 続けること。つなげること。継続させること。多く、他の動詞などに付けて、その動作・状態が継続することを表わす。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉鉄道国有「増抵当や追ヂキに追はれ続けで」
② 能や長唄の大鼓と小鼓の手組の名。ほぼ等間隔に打たれ三ツ地とともに基本的な手組。
※随筆・独寝(1724頃)上「つづけ二ツ打所に、長地一にてあわせのたぐひ、それも所によるべけれども」
そく・う ソクふ【続】
〘他ハ四〙
① 続飯(そくい)をすりこんであかぎれの手当てをする。あかぎれの裂け目を膏薬でつくろう。
※俳諧・鷹筑波(1638)五「日々にそくふは源氏成けり なれぬればあかがり是れも花の縁〈重樹〉」
② 穴などを補修してふさぐ。修繕する。
※漢書列伝綿景抄(1467頃)一六「木でまり穴のあいたをかねてそくうてつくを云ぞ」
ぞく【続】
[1] 〘名〙 つづくこと。また、つづきに当たるもの。つづき。
※滑稽本・東海道中膝栗毛‐発端(1814)序「京大阪および芸州宮嶋までの長丁場を歴て、帰がけの駄賃に、今年続(ゾク)五編、岐蘇路にいたる」 〔史記‐項羽本紀〕
[2] 〘接頭〙 書名などの上に付いて、その書物のつづきであることを表わす。「続膝栗毛」など。
つづかわ・る つづかはる【続】
〘自ラ四〙 遠くまで連なる。
※大唐西域記長寛元年点(1163)三「山原邐(はるかにして)(〈別訓〉ツヅカハリテ)迆(つ)ぎて川沢延を連なれり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報