結膜乾燥症(読み)けつまくかんそうしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「結膜乾燥症」の意味・わかりやすい解説

結膜乾燥症
けつまくかんそうしょう

ビタミンAの欠乏によって結膜が乾燥する疾患。球結膜に潤いがなく、角膜両側に白い斑点(はんてん)(ビトーBitot斑)ができる。眼球を動かすと結膜にしわがよる。この状態のとき、同時に夜盲がある。ビタミンAの欠乏は、摂取量の不足、または重症疾患で吸収不良になった場合などにおこる。幼児では声がかれ、下痢をおこす。さらに進行すると角膜軟化症になり、角膜全面が淡く濁り、やがて中央に潰瘍(かいよう)を生ずる。治療時機を失すると角膜が破れ、多くは失明する。治療としては、肝油の内服、ビタミンA剤の内服か注射が効く。速やかな投与が必要である。

 また、広義の結膜乾燥症には、薬物の腐食、熱傷、トラコーマ天疱瘡(てんぽうそう)などで結膜が瘢痕(はんこん)化し、涙の分泌が減少する、いわゆるドライ・アイを含めることがある。

内田幸男

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の結膜乾燥症の言及

【結膜】より

…したがって,この機能が失われると重篤な疾患となる。
[結膜の病気]
 (1)結膜乾燥症conjunctival xerosis 結膜の代表的な病気。原発性のものと続発性のものに分けられるが,原発性のものは,涙腺の萎縮により涙液の分泌が低下するために起こる。…

※「結膜乾燥症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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