結城昌治(読み)ユウキショウジ

デジタル大辞泉 「結城昌治」の意味・読み・例文・類語

ゆうき‐しょうじ〔ゆふきシヤウヂ〕【結城昌治】

[1927~1996]小説家東京の生まれ。本名、田村幸雄。推理小説やスパイ小説を数多く発表し人気作家となる。硬質の作風で、日本ハードボイルド先駆者と呼ばれた。「軍旗はためく下に」で直木賞受賞。他に「ゴメスの名はゴメス」「長い長い眠り」「白昼堂々」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「結城昌治」の意味・わかりやすい解説

結城昌治
ゆうきしょうじ
(1927―1996)

小説家。東京生まれ。本名田村幸雄(ゆきお)。高輪(たかなわ)中学から海兵団入団。第二次世界大戦後、早稲田(わせだ)大学専門部法科卒業。地検事務官になったが、結核を患う。療養中、石田波郷(はきょう)や福永武彦(たけひこ)と知り合う。『寒中水泳』(1959)で、日本版『エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン』コンテストに入選。『長い長い眠り』(1960)、『仲のいい死体』(1961)などの推理小説を経て、『ゴメスの名はゴメス』(1962)はスパイ小説の収穫とされ、『夜の終る時』(1963)で日本推理作家協会賞。『軍旗はためく下に』(1970)により第63回直木賞を受賞。さらに、伝記小説『志ん生(しんしょう)一代』(1976)、吉川英治文学賞を受賞した『終着駅』(1984)などを書く。その後も、連作推理小説集『修羅匂い』(1990)、短編集『エンドレス』(1991)、連作推理小説集『決着』(1993)、『出来事』(1994)と書き継ぎ、没後の1996年(平成8)9月に刊行された懺悔(ざんげ)物語8話で構成される『泥棒たちの昼休み』と続いた。98年には、死の直前に語った「人生最後の志」『死もまた愉(たの)し』が刊行された。

[伊藤和也・磯貝勝太郎]

『『結城昌治推理シリーズ』全6巻(1966~67・講談社)』『『結城昌治作品集』1~8(1973~74・朝日新聞社)』『『結城昌治自選傑作短編集』(1976・読売新聞社)』『『結城昌治ショート・ショート全集』(1978・六興出版)』『『結城昌治長編推理小説選集』1~8(1980~81・東京文芸社)』『『軍旗はためく下に』『長い長い眠り』『終着駅』『志ん生一代』上下『出来事』(中公文庫)』『『仲のいい死体』『夜の終る時』『ゴメスの名はゴメス』(角川文庫)』『『泥棒たちの昼休み』『死もまた愉し』(講談社文庫)』『『修羅の匂い』(文春文庫)』

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百科事典マイペディア 「結城昌治」の意味・わかりやすい解説

結城昌治【ゆうきしょうじ】

小説家。本名田村幸雄。東京生れ。早稲田大学卒。短編探偵小説《寒中水泳》が《エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン》日本版の短編コンテストに入選。その後,スパイ小説に新生面を拓いた《ゴメスの名はゴメス》(1962年)で注目され,悪徳警官を掘り下げた《夜の終る時》により日本推理作家協会賞受賞。推理小説にとどまらず,《軍旗はためく下に》で第63回直木賞,《終着駅》で吉川英治文学賞を受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「結城昌治」の解説

結城昌治 ゆうき-しょうじ

1927-1996 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和2年2月5日生まれ。37年スパイ小説「ゴメスの名はゴメス」で注目される。45年旧陸軍刑法の非人間性をあばいた「軍旗はためく下に」で直木賞,60年「終着駅」で吉川英治文学賞をうけたほか,推理小説,ハードボイルド小説と幅ひろく活躍した。平成8年1月24日死去。68歳。東京出身。早大専門部卒。本名は田村幸雄。
【格言など】地に消ゆるまでの淡雪せつに降る(「結城昌治集・四季」)

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