細胞診検査(読み)さいぼうしんけんさ

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「細胞診検査」の解説

細胞診検査


子宮粘膜をこすって細胞を取り、がん細胞がないかを調べる検査です。検査した日は入浴を控え、子宮体部の細胞診をした場合は抗菌薬を内服します。

子宮がんの診断に重要な検査

 不正性器出血がおもな症状である子宮がんは、がんのできる部位によって子宮けいがんと子宮たいがんに分類され、それぞれ性質が異なっています。

 発生頻度は頸がんの方が多く、およそ7:3の割合です。発生年齢は、頸がんの方が若く、近年は20歳代からの発症が急速に増えています。一方、がん細胞の型も、頸がんは扁平上皮がんが多いのに比べ、体がんはほどんどが腺がんです。

 がんの診断は、がん細胞をみつけることで最終的に診断するため、何らかの方法で細胞を採取しなければなりません。子宮の粘膜は、擦過さっかして(こすって)直接細胞をとることができ、この検査を擦過細胞診といいます。

 採取した細胞はただちにプレパラートに塗られ(塗抹とまつという)、アルコールで固定され、染色して顕微鏡で検査し、がん細胞がないか否かを判定します。

頸部の検査は20~30秒、体部の検査は5~10分

 検査のための前処置はとくにありません。上着は脱ぎませんが、下着はすべて脱いで、婦人科用の検査台(内診台という)にあお向けになります。

・子宮頸部の細胞診

 まず、触診視診が行われます。次に腟鏡ちつきょうによる診察を行い、このときに変化のある部位を綿棒で数回こすって細胞をとります。

 擦過後、消毒します。痛みはなく、20~30秒で終了します。

・子宮体部の細胞診

 まず腟鏡を挿入し、子宮頸部を消毒します。次に子宮口に鉗子かんしをかけ、子宮の入口を少し広げます。少し痛みがあります。次に、細いブラシを子宮の中に入れ、子宮の内側(内膜)全体をこすって(掻爬そうはという)細胞をとります。このときも少し痛みと出血があります。

 掻爬後、腟部を消毒して5~10分で終了です。

出血が多いときはタンポンを

 検査後、出血はほとんどなく、にじむ程度ですが、当日はナプキンをあてておいたほうがよいでしょう。出血が多いときは、半日くらいタンポンを入れておきます。出血が持続している場合は、医師に連絡してください。当日のシャワーはかまいませんが、入浴は止めておきます。子宮体部の細胞診をしたときは、感染予防のために2~3日、抗菌薬を内服します。

がんが疑われたら組織診を

 細胞診でがんが疑われたり、がん細胞がみつかったときは、その組織一部をとって顕微鏡で調べる組織診が行われます。子宮頸部組織診のときは腟鏡を使い、子宮内膜組織診のときは掻爬器を使います。

■子宮頸がんと子宮体がんのおもな特徴

子宮頸がん

 [好発年齢]40歳代前後(閉経前に多い)

 [危険因子]ヒトパピローマウイルスの感染(多くは性交渉)

 [組織型]おもに扁平上皮がん

 [症状]接触出血(性交時出血)、不正出血、帯下(おりもの)、疼痛など

《子宮体がん》

 [好発年齢]50~60歳代(閉経後に多い)

 [危険因子]閉経後、未出産、肥満・高脂肪食など

 [組織型]おもに腺がん

 [症状]不正出血、帯下(おりもの)など

疑われるおもな病気の追加検査は

◆子宮頸がん・体がん→組織診、超音波、腫瘍マーカー(SCC、CEA、CA125)、骨盤CT、骨盤MR、PET-CTなど

医師が使う一般用語
「スメアー」=smear〈塗沫(標本)〉から

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

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