細胞分裂阻害型除草剤(読み)さいぼうぶんれつそがいがたじょそうざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞分裂阻害型除草剤」の意味・わかりやすい解説

細胞分裂阻害型除草剤
さいぼうぶんれつそがいがたじょそうざい

除草剤を阻害作用で分けたときの分類の一つ。植物細胞の有糸分裂を阻害することにより除草作用を発現する。その阻害部位により、有糸分裂に必須(ひっす)の微小管の形成を阻害するジニトロアニリン系除草剤(トリフルラリン、オリザリン、ペンディメタリンなど)や有機リン系除草剤(アミプロホスメチル)、微小管の機能を阻害するカーバメート系除草剤(クロロプロファム)がある。

 ジニトロアニリン系や有機リン系除草剤は、微小管を構成する球状タンパク質チューブリンに直接作用し、その重合を阻害することにより、一年生雑草の防除に効果を発揮し、土壌処理剤として使用される。カーバメート系除草剤は、チューブリンに直接作用しないが、微小管の形成を妨害することにより、一年生雑草の防除に効果を発揮し、土壌処理剤として使用される。

 そのほかに、酸アミド系除草剤のメフェナセットやシネオール系除草剤のシンメチリンは、ヒエ類の幼根や幼芽の成長点の細胞分裂を阻害するため、おもに一年生イネ科雑草を防除する水田用土壌処理剤として使用されている。

[田村廣人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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