細細(読み)こまごま

精選版 日本国語大辞典 「細細」の意味・読み・例文・類語

こま‐ごま【細細】

[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 微細なさま、こなごなであるさまを表わす語。こまかに。
たまきはる(1219)「白き水晶の玉にておはしましけるを、とりはづして落としまゐらせて、こまこまとわれくだけぬるを」
② くわしいさまを表わす語。ことこまかに。詳細に。
※竹取(9C末‐10C初)「かぐや姫をえ戦ひとめずなりぬるこまごまと奏す」
御伽草子横笛の草紙(室町末)「ふみこまごまとみ給へば」
③ 丁重なさまを表わす語。ねんごろに。
※浄瑠璃・百日曾我(1700頃)一「先是がおいとまごひとたがひの一礼こまごまと」
④ 繊細で美しいさまを表わす語。こまやかに。
※枕(10C終)二〇〇「髪、いろに、こまごまとうるはしう」
⑤ 細かく雑多なさまを表わす語。重要でないという気持を含めていう。こまこま。
※行人(1912‐13)〈夏目漱石〉兄「母は又行李の中へ、こまごましたものを出したり入れたりし始めた」
⑥ 休まずせわしく働くさまを表わす語。こまめに。こまこま。
※自由学校(1950)〈獅子文六〉五笑会の連中「コマゴマ働きながらも、少しも、労苦の色がなく」
[2] 〘形動〙 (一)に同じ。
※宇治拾遺(1221頃)九「物はむれらかに得たるこそよけれ。こまこまに得んとのたまふ、わろき事なり」

さい‐さい【細細】

〘名〙 (形動)
① こまかいさま。くわしいさま。また、念入りなさま。ことこまか。こまごま。委細。詳細。
※医心方(984)五「右取長明燈油盞内油少許以一銅銭霜鉢内細々磨之」
※半井本保元(1220頃か)上「道理を申しければ、細々にきこし召て、罪なければ、御後悔有き」 〔蘇轍‐葺居詩〕
② 心のせまいさま。
※古活字本荘子抄(1620頃)九「細人とは小人を云。細々なる者と云心也」
③ ほっそりしたさま。軽やかな様子。〔杜甫‐宣政殿退朝晩出左掖詩〕
六波羅殿御家訓(13C中)五条「小々の咎をばをししづめて、すこしをとす様に云て、細々に勘当すべからず」
[語誌]日本では、当初主に①の意味で用いられたが、「念入りに」の意の例の中には、文脈上「再三」の意にも解せるものがあるため、④の意味が生じたと考えられる。

こまごま‐し・い【細細】

〘形口〙 こまごまし 〘形シク〙 (「こまこましい」とも)
① 非常に小さい。いかにも細かい
日葡辞書(1603‐04)「Comagomaxij(コマゴマシイ)
② 非常にくわしい。詳細である。
信長記(1622)一下「信長卿当国の絵図を、委細にこしらへ〈略〉こまこましく問尋られしかば」
③ 非常に丁寧である。ねんごろである。
※御伽草子・あめわかみこ(室町時代物語集所収)(室町末)「ひめ君にこまこましく、つかへ給ひしにうばうたち十二人」
④ さして重要でない。細かく雑多である。くだくだしい。わずらわしい。
塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉一五「細々(コマコマ)しい所は面白味が薄う御座いますから申上げませんが」

こま‐こま【細細】

[1] 〘副〙
※落語・茶碗屋敷(1891)〈三代目春風亭柳枝〉「窓下を通る屑屋を呼んで、コマコマした道具をお求めになった者で」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の家「そのくせマメにコマコマと立ち働いて」
[2] 〘形動〙 こなごなであるさま。細かくきれぎれにするさま。
西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一三「マアどうしたんだへ此様(こんな)に細々(コマコマ)に切てしまってさ」

ほそ‐ぼそ【細細】

〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 非常に細いさまを表わす語。
※作庭記(1040頃か)「霞形は池のおもてを見渡せば、〈略〉ふたかさね三かさねにもいれちがへて、ほそぼそとここかしこたぎれ渡り見ゆべきなり」
② 物がかろうじてつながっているさま、また、かろうじてその状態が続いているさまを表わす語。
※琵琶伝(1896)〈泉鏡花〉二「折があったらお前に逢ひたい一心で、細々(ホソボソ)命を繋いで居るもの」

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デジタル大辞泉 「細細」の意味・読み・例文・類語

ほそ‐ぼそ【細細】

[副]
非常に細いさま。また、細く弱々しいさま。「細細とした声」
かろうじて続いているさま。また、やっとのことで維持するさま。「細細と山道が続く」「年金で細細と生活する」
[類語]ひょろっと長身長躯のっぽ背高八頭身ひょろ長い・立っ端がある・ほっそりひょろひょろひょろり細い痩せる細るせ細るける痩せこける痩せさらばえるやつれる憔悴しょうすいする肉が落ちる痩身痩躯細身やせやせっぽちやせぎすスマートスリムか細いほそやか細め極細細作り華奢きゃしゃ細める着やせげっそりすらりすらっとスレンダーソップ形がりがりぎすぎす痩せ枯れる痩せ衰える小さいしょう小さなちっちゃいちっぽけ細かい低い小さめ矮小わいしょう寸足らずちんちくりん微小微細細微細密緻密ちみつ細か小振り小形小柄小作り小粒豆粒芥子けし群小最小小規模零細ちんまりこぢんまりちまちまミニ

こま‐ごま【細細】

[副](スル)
細かくて雑多なさま。細かくてあまり重要でないさま。「細細(と)した道具類」「細細した要件を片付ける」
細かいところまで行き届くさま。「事情を細細(と)話す」
ねんごろなさま。丁重なさま。「細細と世話をやく」「細細(と)礼を言う」
せわしく働くさま。こまめに。「細細と立ち働く」
繊細なさま。こまやかなさま。
「髪、色に、―とうるはしう」〈・二〇〇〉
[類語]細細しい細かい些細ささい瑣末枝葉枝葉末節末梢的些事細事小事細かい煩瑣はんさ瑣瑣ささたる区区くくたるちょっとした取るに足りないたわいない何でもない愚にもつかぬ益体も無いらちも無い高が知れる

さい‐さい【細細】

[形動ナリ]
こまかいさま。また、くわしいさま。微細。詳細。
「道理を申しければ、―に聞こし召して」〈半井本保元・上〉
再再」に同じ。
「定家、家隆卿など―に申し行はれけるにや」〈連理秘抄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「細細」の読み・字形・画数・意味

【細細】さいさい

こまやか。ささやかなさま。唐・杜甫〔厳公の宅にて同じく竹を詠ず〕詩 雨に洗はれて娟娟(けんけん)として淨(きよ)く 風に吹かれて細細として香し

字通「細」の項目を見る

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