細か(読み)こまか

精選版 日本国語大辞典 「細か」の意味・読み・例文・類語

こま‐か【細か】

[1] 〘形動〙
① 非常に小さいさま。微細なさま。
源氏(1001‐14頃)真木柱「さるこまかなるはひの、めはなにもいりて」
※点鬼簿(1926)〈芥川龍之介〉四「僕は僕の父の骨が白じらと細(コマ)かに砕けた中に」
② 繊細で美しいさま。上品でしとやかなさま。きめこまかで風情があるさま。こまやか。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「よき調度、こまかなるたから物は」
浮世草子傾城色三味線(1701)江戸「折折にしゃみせん引かけ、是はこまかに御語りなさるるなどそやしける」
③ くわしいさま。ことこまかであるさま。詳細。
※源氏(1001‐14頃)須磨「道のほども、あやふければ、こまかには聞え給はず」
青年(1910‐11)〈森鴎外〉二四「そしてゆうべ床に這入ってから考へた事が〈略〉次第に細(コマ)かに心に浮んで来る」
④ 念入りであるさま。こまごまと注意深くするさま。丁寧。綿密。また、ささいなことに、あれこれ気をとめるさま。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「朱雀院こまかに御覧ずるに、あかずめでたければ」
※応永本論語抄(1420)堯曰第二十「人君は、こまかなれば悪し、大やうなれば人が帰する也」
⑤ こまごまと親身に心の行き届いているさま。親切なさま。ねんごろなさま。
伊勢物語(10C前)九四「子あるなかなりければ、こまかにこそあらねど、時々ものいひおこせけり」
⑥ 勘定高いさま。けちなさま。みみっちいさま。
※浮世草子・西鶴置土産(1693)五「なんの事はござりませぬ両替屋のこまかなるやつが子なり」
[2] 〘名〙 こまかいこと。また、こまかいもの。
談義本・医者談義(1759)二「中庸の刻かげんは当流の法なり。古流細末(コマカ)(〈注〉サイマツ)を用ゆるなり」

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デジタル大辞泉 「細か」の意味・読み・例文・類語

こまか【細か】

[形動][文][ナリ]
きわめて小さいさま。粗くないさま。「細か網目」「細かな雨」
詳しいさま。「細か説明
気持ちなどが隅々まで行き届くさま。「細か心遣い
勘定高いさま。けちなさま。「金に細かな人」
ねんごろなさま。親切なさま。
「後のわざなどにも、―にとぶらはせ給ふ」〈桐壺
繊細で美しいさま。こまやかで趣のあるさま。
「―にうつくしき面やうの」〈手習
[類語]細かい小さい微小微細細微細密緻密ちみつしょう小さなちっちゃいちっぽけ低い小さめ矮小わいしょう寸足らずちんちくりん小振り小形小柄小作り小粒豆粒芥子けし群小最小小規模細細ほそぼそ零細ちんまりこぢんまりちまちまミニ

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