素(漢字)

普及版 字通 「素(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音]
[字訓] しろぎぬ・もと・もとより

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
糸を染めるとき、束の上部の結んだ部分が白く染め残される。その部分を素という。糸の上部は、その結んだところ。〔説文〕十三上に「白の緻(きめこま)かき(きぬ)なり。糸と垂とに從ふ。其の澤あるを取るなり」とするが、垂に従う字ではない。染め残されたところが本来の色であるので、すべて手を加えない以前の状態をいう。

[訓義]
1. しろ、しろぎぬ、むじ。
2. もと、もとのいろ、もとの状態。
3. もとより、まえから、あらかじめ、つね。
4. たち、本来の性質、まこと、ただしい、すなお。
5. むなしい、いたずら、何も加えない、無位。

[古辞書の訓]
名義抄〕素 キヌ・シロシ・カナフ・モトヨリ・ムナシ・ワヅラフ・ミサホナリ・スナホニ・キオツ 〔字鏡集〕素 キヌ・キオツ・キヨシ・ワヅラフ・ムナシ・モト・アヅカル・タダシ・カナフ・ミサホナリ・ヲキヌノ・スナホニ・シロシ・モトヨリ

[部首]
〔説文〕に(しやく)・(かん)など四字を属し、〔玉〕に彝(い)の字を加える。はのち綽綰(しやくわん)に作り、緩やかにする意。彝は鶏を羽交いに締めて鶏血をとる象形の字であるから、素の字形を含むものではない。素に従う字は、もと染色に関する字であった。

[語系]
素sa、索sheakは声近く、素は糸を染めるとき、その糸束の上部を結んで漬す。索はその結ぶところに横木をつけ、ねじて索縄とすることをいう。

[熟語]
素足素堊・素衣素帷・素意・素位・素一・素隠・素羽・素雲・素・素栄・素影素謁・素艶・素王素娥・素懐・素官・素冠・素館素簡・素・素顔・素願素几・素気・素肌・素旗・素輝・素・素仇・素旧・素業・素琴・素錦・素襟・素・素契素景・素素霓・素結・素月・素軒素検素絢・素絹・素素臉・素故素交・素光素行素侯・素構・素毫・素彩・素材・素・素札・素・素粲・素・素士・素糸・素志・素瓷・素歯・素肆・素地・素辞・素識・素室素質・素車素手・素修・素秋・素書・素粧・素裳・素尚・素情・素色・素食・素心・素身・素親・素人・素誠・素毳・素石・素昔・素雪・素節・素賤・素蟾・素饌・素・素膳・素・素族・素・素湍・素端・素朝・素波・素白・素魄・素髪・素幡素描・素貧・素膚・素服・素幅・素冕・素封・素抱・素望・素樸・素木素朴・素明・素面・素門・素約・素友素誉素養・素来・素里素履・素流素練素廉・素論
[下接語]
華素・雅素・愨素・寒素・閑素・簡素・素・虚素・軽素・潔素・倹素・謙素・元素・後素・皓素・縞素・緇素・色素・質素・宿素・純素・素・情素・心素・尺素・太素・道素・徳素・貧素・平素・抱素・朴素・要素・養素

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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