精選版 日本国語大辞典 「納札」の意味・読み・例文・類語
おさめ‐ふだ をさめ‥【納札】
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巡礼者が霊場に参拝したしるしに納める札のこと。納め札,巡礼札ともいう。札の中央にその巡礼の名称,両側に出身地,名前,参拝年月日などを書くのがふつうである。納札を納めるところから巡礼の寺を〈札所(ふだしよ)〉と呼び,もとは木製の札を釘で打ちつけたため,札所に詣でることを〈札を打つ〉ともいうようになった。一方,巡礼者が通り過ぎる地域の人々にとっても,この札には大きな意味があった。たとえば四国地方では遍路(へんろ)の出盛りになると,沿道の村々が無料の接待所を設けて,遍路たちに金品を接待する。遍路はそれとひきかえに納札を一枚渡す。こうして集まった納札を縄の間にはさんで村の入口に張り渡し,魔よけとするのである。また接待宿を提供したときも納札をもらい,これを門口にはって同じく魔よけとする。つまり納札を介して地域社会と巡礼者は緊密に結びつき,その結びつきが巡礼の風習をささえてきたのである。
執筆者:真野 俊和
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