紀の川(市)(読み)きのかわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紀の川(市)」の意味・わかりやすい解説

紀の川(市)
きのかわ

和歌山県北部にある市。2005年(平成17)那賀(なが)郡の打田(うちた)、粉河(こかわ)、那賀、桃山(ももやま)、貴志川(きしがわ)の5町が合併、紀の川市として市制施行。北の和泉(いずみ)山脈と南の紀伊山地に挟まれ、中央部を東から西に紀の川が流れ、市の西部で貴志川が合流する。紀の川の北岸に沿ってJR和歌山線、国道24号が通じ、24号からは424号、480号が分岐する。古くから開けた地域で、古墳や条里遺構が残り、また名手市場(なていちば)などは大和(やまと)街道の宿場町として栄えた。果樹栽培を中心とした都市近郊農業が盛んで、ミカンなどの柑橘(かんきつ)類、カキ、モモ、キウイフルーツなどの生産が多い。また、工業団地もつくられ、住宅地が進み、和歌山市への通勤者が増えている。1993年(平成5)には近畿大学生物理工学部が開学した。粉河寺は奈良時代創建の古刹(こさつ)で、『紙本著色粉河寺縁起』は国宝、庭園は国指定名勝となっている。そのほか、鞆淵(ともぶち)八幡神社の沃懸地螺鈿金銅装神輿(いかけじらでんこんどうそうしんよ)が国宝、同神社の本殿三船神社の本殿、旧名手本陣妹背(いもせ)家住宅などが国指定重要文化財、紀伊国分寺跡旧名手宿本陣が国指定史跡となっている。また市内には龍門山(りゅうもんざん)県立自然公園があり、一部は金剛生駒紀泉国定公園に含まれる。面積228.21平方キロメートル、人口5万8816(2020)。

[編集部]


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