糺の森(読み)ただすのもり

精選版 日本国語大辞典 「糺の森」の意味・読み・例文・類語

ただす【糺】 の 森(もり)

京都市左京区下鴨賀茂御祖神社境内の森。
大和(947‐957頃)二条家本附載「いつはりをただすのもりのゆふだすきかけてを誓へ我を思はば」

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デジタル大辞泉 「糺の森」の意味・読み・例文・類語

ただす‐の‐もり【糺の森】

京都市左京区の賀茂御祖かもみおや神社内の森。賀茂川高野川合流点にある。和歌で「ただす」に掛けて用いられることが多い。[歌枕
「偽りを―のゆふだすきかけつつちかへ我をおもはば」〈新古今・恋三〉
高城修三短編小説、およびそれを表題作とする小説集。昭和59年(1984)刊行

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糺の森」の意味・わかりやすい解説

糺の森
ただすのもり

京都市左京区の南西部にある賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)(下鴨(しもがも)神社)の境内の森をいう。シイケヤキエノキなどの広葉樹が多い。賀茂川と高野(たかの)川の合流点に位置するため、一帯を只洲(ただす)と称したのが地名起源と伝えられる。また平安時代は潔斎の場で、「糺」は偽りを正す意味にも解されて「偽りを糺の森の木綿襷(ゆふたすき)かけつつ誓へわれを思はば」(『新古今集』)のように古歌に詠まれている。また森を流れる「瀬見の小川(せみおがわ)」は地下水の湧出(ゆうしゅつ)する清流で、歌枕(うたまくら)として知られる。

織田武雄

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