糸瓜・天糸瓜(読み)へちま

精選版 日本国語大辞典 「糸瓜・天糸瓜」の意味・読み・例文・類語

へちま【糸瓜・天糸瓜】

〘名〙
① ウリ科のつる性一年草。熱帯アジア原産で、日本には江戸時代の初めに渡来し広く栽培される。茎は稜があり巻ひげで他物にからむ。葉は柄をもち掌状に浅く三~七裂する。雌雄同株。夏から秋にかけ、径五~一〇センチメートルの黄色い五弁花を開く。果実は円筒形で、長さ三〇~六〇センチメートル、若いものは煮食する。夏、茎から液をとり化粧水や咳止め薬にする。漢名、糸瓜。とうり。へちまうり。《季・秋》
▼へちまの花 《季・夏》
※羅葡日辞書(1595)「Cucumer〈略〉fechimano(ヘチマノ) タグイ」
ヘチマの実を乾燥させた繊維でつくった垢すり。へちまの皮。
※評判記・秘伝書(1655頃)下ほんの事「入ゆを、てひきがんにわかして、ゆてにはへちまたふ」
③ つまらないもの、とるにたりないものをたとえていう語。また、「…もへちまも」の形で下に否定の語を伴い、語の意を強調していう語。へちまの皮。
咄本醒睡笑(1628)七「色々いやといへども、種々教訓のゆゑ、経を頂きて候。さりながら、いただきたる経を糸瓜とも思ふにこそ」
浄瑠璃・心中天の網島(1720)中「人のかはきたちくしゃう女が、なごりもへちまもなん共ない」
④ (形動) 気がきかないこと。りちぎでやぼなこと。拙劣でへまなこと。また、そのさま。
談義本・八景聞取法問(1754)一「いかさま今迄は我等が仕形が(ヘチマ)でござる」
醜女をたとえていう語。
※滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評「吉原にも糸瓜(ヘチマ)有、岡場所にも美人あり」
⑥ =へちまやろう(糸瓜野郎)〔現代語大辞典(1932)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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