粟・粱(読み)あわ

精選版 日本国語大辞典 「粟・粱」の意味・読み・例文・類語

あわ あは【粟・粱】

〘名〙
① イネ科の一年草。インド原産で古くから各地の畑に栽培されている。高さ一~一・五メートル。葉は広い線形。夏から秋に緑色の小花が集まった一〇~二〇センチメートルの穂をつける。種子はみのると黄色、赤色、紫色になる。植物学上は大粟(狭義の粟)と小粟にわかれる。五穀の一つで糯(もち)と粳(うるち)がある。生育期間は三~五か月間で、日照りに強く、やせ地でもよく育つ。粟飯、粟餠粟おこし、だんごなどにするほか、あめ、酒の原料、小鳥の飼料などとする。
※古事記(712)上「二つの目に稲種(いなだね)(な)り、二つの耳に粟生(な)り」
万葉(8C後)一四・三三六四「足柄の箱根の山に安波(アハ)蒔きて実とはなれるを逢はなくもあやし」
※俳諧・笈日記(1695)中「粟稗(ひゑ)にまづしくもなし草の庵〈芭蕉〉」
② 「あわいい(粟飯)」の略。
※雑俳・柳多留‐六一(1812)「佐野の粟是も栄花の炊初」
③ 「あわもち(粟餠)」の略。
※雑俳・柳多留‐八二(1825)「曲舂は粟で此世をすごすなり」
④ (「あわちらすくに(粟散国)」の略) 日本国の異称。「扶桑略記」に、日本国を指して、「東方粟散国」とある。
※雑俳・柳多留‐六四(1813)「粟の近所へもろこしは寄せ付ず」
⑤ 寒さや恐怖のはなはだしいとき、毛孔粟粒のように立つもの。ぞく。
趣味遺伝(1906)〈夏目漱石〉二「慄然として粟を肌に吹く」
⑥ 粟①を図案化した紋章。粟の丸、抱き粟などがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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