粛粛(読み)しゅくしゅく

精選版 日本国語大辞典 「粛粛」の意味・読み・例文・類語

しゅく‐しゅく【粛粛】

〘形動タリ〙
① つつしみうやまうさま。うやうやしくするさま。
新編覆醤集(1676)二・答林春斎并序「孝愛椿萱恒粛粛、交締蘭蕙既偲偲」
真善美日本人(1891)〈三宅雪嶺〉日本人の任務「上帝英傑を下して国人を救ふと信じ、〈略〉日夜粛々として之を俟てりき」 〔詩経‐大雅・思斉〕
② 静かでひっそりしたさま。ものさびしいさま。寂々(せきせき)。蕭々(しょうしょう)
※山陽詩鈔(1833)一・題不識庵撃機山図「鞭声粛粛夜過河、暁見千兵擁大牙」 〔潘岳‐寡婦賦〕
③ ひきしまったさま。ととのったさま。
経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後「各軍団粛々として山を下り或は右に赴き或は左に赴く」 〔詩経‐周南・兎
④ おごそかなさま。厳粛なさま。
夜行巡査(1895)〈泉鏡花〉五「更に冷然として一定の足並を以て粛々(シュクシュク)と歩出せり」 〔詩経‐小雅・黍苗
⑤ 松などの樹木に、風があたってものさびしい音をたてるさま。また、風がひややかに吹くさま。
※南郭先生文集‐初編(1727)一・鐃歌十八首・有所思「小星三五何粲粲、晨風粛粛当誰」 〔世説新語容止

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デジタル大辞泉 「粛粛」の意味・読み・例文・類語

しゅく‐しゅく【粛粛】

[ト・タル][文][形動タリ]
ひっそりと静まっているさま。「鞭声粛粛夜河をわたる」
「わが血潮は、―と動くにも拘らず音なくして」〈漱石虞美人草
おごそかなさま。厳粛なさま。威厳をもって物事を行うさま。「移転計画を粛粛と進める」
「数十頭の乗馬隊が―と進んで行くのは絵のごとく」〈火野麦と兵隊
つつしみうやまうさま。
「上帝英傑を下して国人を救うと信じ…日夜―として之をてりき」〈雪嶺・真善美日本人〉
[類語]厳粛厳然おごそか森厳荘厳荘重重厚重重しい物物しい厳めしい厳としてげん重量感どっしりずっしりずしりずしっとどっかとがっしり重み広量堂堂大度太っ腹マッシブ

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普及版 字通 「粛粛」の読み・字形・画数・意味

【粛粛】しゆくしゆく

ひきしまって、きびしいさま。〔世説新語、容止〕康、身の長(たけ)七尺寸、風特秀なり。~或いは云ふ。肅肅として下の風の、高くして徐(しづ)かに引くが如しと。

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