籠城(読み)ろうじょう

精選版 日本国語大辞典 「籠城」の意味・読み・例文・類語

ろう‐じょう ‥ジャウ【籠城】

〘名〙
① 敵に囲まれて城にたてこもること。城にこもって守ること。
園太暦‐観応元年(1350)一〇月一七日「一色相憑上、松浦輩并草野等、如形籠城、将軍為発向者」
② 家にひきこもって外出しないこと。うちにこもっていて外へ顔を出さないこと。
三四郎(1908)〈夏目漱石〉七「是で巴里下宿に籠城(ロウジャウ)するなんて大威張だったが」

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デジタル大辞泉 「籠城」の意味・読み・例文・類語

ろう‐じょう〔‐ジヤウ〕【籠城】

[名](スル)
城などの中にたてこもって敵を防ぐこと。「籠城作戦」
家などにこもって外に出ないこと。「籠城して受験勉強に励む」
[類語]蟄居籠居

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改訂新版 世界大百科事典 「籠城」の意味・わかりやすい解説

籠城 (ろうじょう)

城にこもり敵と戦うこと。敵陣包囲の中,味方が劣勢の場合,重要な戦術であった。《太平記》の楠木正成による千早城籠城戦は史上有名であるが,こうした籠城により敵を攻略するには,何よりも食糧・水などの生活物資の確保が先決であり,加えて矢・火薬・石などの戦闘用具の準備も必要となる。後世,この籠城戦を勝ちぬく心得を記した書物も見られるようになる。《兵法雄鑑》(1645成立)には食料・武器の用意などの初歩的なことのほか,敵の火攻めに備えて民家を焼き払い城外に放置されている可燃物を城中に持ち込み,その手段を断つこと,あるいは敵陣の糧道・水源を断つべく城外の水源に不浄物を沈めるべきことなどが記されている。籠城は防衛戦のかなめであり,これによって味方の来援を待つが,場合によっては,機をみて,夜討ちなどの奇襲により敵陣を攪乱する方法もとられた。
城攻め
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世界大百科事典(旧版)内の籠城の言及

【城攻め】より

…第1の段階は,城を政治的・軍事的に孤立させ,城内と外部の支援勢力との連絡を絶つことに目的がある。籠城する側は,城の周辺の土地から兵糧など必要な物資を城に取り込み長期戦に備えるとともに,攻め方にそれらの物資を利用されることを防ぐ。また周辺の住民も,攻め方に徴用されることを防ぐために城に入らせたり,そうでない場合は城外に残った住民が攻め方に協力しないよう人質を取ることもあった。…

※「籠城」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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