簀子(読み)すのこ

精選版 日本国語大辞典 「簀子」の意味・読み・例文・類語

す‐の‐こ【簀子】

〘名〙
角材。おもに、断面が方四寸(約一二センチメートル)の木材
正倉院文書‐天平宝字六年(762)閏一二月二九日・造石山院所解案「箐子十七枚〈三枝各長二丈四尺 四枝各長一丈五尺 十枝各長八尺〉並方四寸」
※後撰(951‐953頃)恋三・七七〇・詞書「人のもとにまかりて、いれさりけれは、すのこにふしあかしてかへるとていひいれ侍ける」
③ 竹や木を間を少しずつ透かせて並べ、打ちつけたもの。水はけのよいようにしてある。流しなどに使う。
※虎明本狂言・鱸庖丁(室町末‐近世初)「いたなる鯉をばきらずして、すのこのいた(〈注〉竹)を一間はづし、したなる魚をはさんであげ」
④ 劇場の舞台の天井。横に牛梁(うしばり)を渡し、ここに竹を張ったもの。〔絵本戯場年中鑑(1803)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「簀子」の意味・わかりやすい解説

簀子
すのこ

竹・細板などをすきまをあけて並べた床で、水はけを必要とする場所に用いられる。簀子とは、元来は木材の形状をさすもので、奈良時代から平安時代には、断面が方4寸(約12センチメートル)の角材を意味していた。寝殿造の廂(ひさし)の外側にある濡(ぬ)れ縁(えん)は簀子・簀子敷とよばれるが、こうした竹の簀(す)を編んだような縁側をはじめ、炊事場・風呂場(ふろば)などの流しには水切り用として、農家の簀子張りの天井・棚などには穀物の乾燥用として、いまでも広く用いられている。また歌舞伎(かぶき)舞台上部の簀子張りの天井のことも簀子とよぶが、これは初期の舞台の日覆いが変化したものといわれ、ここから釣枝(つりえだ)を降ろし、雪・花を降らせたりする。

[宮本瑞夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android