箱館六箇場所(読み)はこだてろつかばしよ

日本歴史地名大系 「箱館六箇場所」の解説

箱館六箇場所
はこだてろつかばしよ

箱館付六箇場所、単に六箇場所ともいう。東蝦夷地のうち、和人地に隣接する口蝦夷地の小安おやす戸井とい尻岸内しりきしない尾札部おさつべ茅部かやべ(砂原)野田追のたおいの六箇場所の総称および地域呼称。寛政一二年(一八〇〇)六箇場所が「村並」となってからよばれるようになったと考えられる。

シャクシャインの戦に関連して「津軽一統志」の「松前より下狄地所付」に「のたあい」として「新井権之助商場」、「狄蜂起集書」に「のたおい」は「新田権之助商場」とみえる。支配所持名前帳によると「於佐津辺鳥屋一ケ所」が新井田新兵衛知行所であった。元文四年(一七三九)頃の「蝦夷商賈聞書」に「是よりカヤベト申所迄昆布出所」とあり、以下、「トヱ」は佐藤加茂左衛門預、出物は赤昆布・ウンカ昆布(大名物)・黒昆布・シノリ昆布・フノリ。秋の猟は鮫・鰤。「シリキシナイ」は木村与右衛門預、出物類は右に同じ。「イキシナイ并ニコブイ」は家老蠣崎内蔵丞預、出物類は右に同じ。「トトホツケよりヲ(ツ欠)ベ迄十里ハカリ。此間蝦夷村沢山ニ有リ、昆布大出所也」と記され、新井田兵内預。運上金は一年に四〇両。「臼尻よりマツヤ」までは志摩守(松前藩主)に運上金を納める。出物は「昆布ハカリ」。「カヤベ」は北見与五左衛門預。夏の出物は鯡数子・昆布、一〇月初旬から膃肭臍。運上金は一年に二〇両。「ヲトシ部、モナシ部、野田ヲイ」の三ヵ所は新井田権之助預。夏の出物は鯡数子・昆布、冬は膃肭臍と記される。松前藩主や藩の重臣の商場であったことがうかがわれる。

「大名物」とされる「ウンカ昆布」は、一四世紀中頃の僧玄恵の著といわれる「能狂言五十九番集」の「昆布売」、同人の著とされる「庭訓往来」に「宇賀昆布」とみえ、小安場所釜谷かまや(現戸井町)を流れる運賀うんが川の前浜一帯の産物とされる。当地は西方浜続きの志苔しのり(現函館市)一帯とともに蝦夷地の昆布の産地として知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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