管理範囲(読み)かんりはんい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「管理範囲」の意味・わかりやすい解説

管理範囲
かんりはんい

1人の上級者が直接かつ有効に管理することのできる下級者の数をいう。大規模組織が階層状の形態をとらざるをえないのは、管理範囲の大きさに限界があるためである。いま作業者(組織最下層構成者)総数E、作業者管理範囲(現場管理者の管理範囲)A、管理者管理範囲(上級管理者による下級管理者の管理範囲)R、階層数(頂点を除く)N、必要管理者数Tとすると、次の関係式が成立する。


 管理範囲の現実の大きさは一律ではなく、相接する上下級者双方の各種要因が複雑に関係して具体的な大きさが決まる。上級者側要因としては、能力、資質、管理充当時間が、下級者側要因としては、能力、資質、職務内容があげられる。特定状況においては前記関係式から適正な管理範囲が導き出されるが、それより管理範囲を小さく決める(過小管理範囲)と階層や管理者が過多となり、逆に大きく決める(過大管理範囲)と管理者の負担超過となって、いずれの場合にも管理の有効性は低下する。適正管理範囲の決定には、種々の測定法があるから、それを応用して適切な組織構造を設計する必要がある。管理範囲を学校組織に応用した典型例は、1学級の生徒数を何人にするかという問題であり、それは前記関係式のAの適正値をさしている。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android