管玉(読み)くだたま

精選版 日本国語大辞典 「管玉」の意味・読み・例文・類語

くだ‐たま【管玉】

〘名〙 細い竹管状の玉。ふつうは長さ三~五センチメートル。縄文後期からみられ、古墳時代勾玉(まがたま)切子玉などとまぜて紐を通し、首飾りに用いられた。碧玉(へきぎょく)が多いが、鉄石英瑪瑙(めのう)ガラスなどもある。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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デジタル大辞泉 「管玉」の意味・読み・例文・類語

くだ‐たま【管玉】

弥生時代から古墳時代にかけて用いられた装飾用の玉の一種碧玉へきぎょく製で円筒の細長い玉。長さ1~5センチ。穴に糸を通して多数つなぎ、主に首飾りにする。

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改訂新版 世界大百科事典 「管玉」の意味・わかりやすい解説

管玉 (くだたま)

円筒形の玉。縄文時代にも石または鳥骨で作った管状の玉が少量あるが,同形同大の管玉を多数つらねて使用するのは弥生時代からである。弥生時代の管玉は碧玉(へきぎよく)または鉄石英で作り,長さ1~2cm,径3mm程度の小型のものが多く,ガラス製の管玉もあった。古墳時代になると,碧玉の管玉が盛行し,しだいに大型になって,長さ3cm,径8mmぐらいを普通としたが,長さ・直径ともにその倍以上のものも現れ,水晶メノウなどの材料も用いる一方,祭祀用には滑石の管玉を作っていた。

 日本では管玉の材料に緑色の碧玉を多く用いていることを,《万葉集》巻三に〈竹玉(たかだま)をしじに貫き垂り〉などというのが管玉をさすらしいことと結びつけて,管玉の起源を竹玉に求める説がある。しかし,内モンゴル赤峰の紅山後遺跡の管玉には,白色の鳥骨製品と黒色の滑石製品とを混用するものがあって,管玉の祖形が竹玉のみでないことを教えている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「管玉」の意味・わかりやすい解説

管玉
くだたま

円筒形をした竹管状の玉で、主として装身具として使われた。縄文時代に石製、鳥骨製のものがすこしあるが、一般化してくるのは弥生(やよい)時代になってからで、古墳時代に盛行するが、後期には減少し、奈良時代にはほとんどみられなくなる。弥生時代のものは碧玉(へきぎょく)、鉄石英(てつせきえい)製で、長さ1~2センチメートル、径0.3センチメートル程度の小形のものが多い。最近、ガラス製管玉の発見例が増えてきている。古墳時代には全体的に大形化し、長さ3センチメートル、径0.5~1センチメートル程度が普通であるが、なかには長さ10センチメートル近い大形品もある。材料は碧玉が多く、滑石(かっせき)、水晶、ガラス、めのうなども使われた。奈良時代には正倉院宝物のなかに金銅(こんどう)、サンゴ、めのう製のものがすこしある。管玉の製作はすでに弥生時代から、専門の玉作工人によって行われていたことが知られている。

[望月幹夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「管玉」の意味・わかりやすい解説

管玉
くだだま

装身具の一種。細い竹を輪切りにしたような筒形をした玉類。大小あるが,3~5cmぐらいのものが多い。縦に孔をあけ,糸を通してつなぎ,首飾りや腕飾りにしたと思われる。碧玉製が多いが,ガラス,水晶,瑪瑙などもある。孔は両方からあけているもの,片側からのものがある。古墳出土のものが多いが,正倉院宝物にもみられる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「管玉」の解説

管玉
くだたま

弥生時代から古墳時代にかけてつくられた管状の玉
装飾具として使用。弥生時代のものは長さ1〜2㎝,径3㎜程度の小型のものが多く,古墳時代に入り大型化し,長さ3㎝,径8㎜ほどのものが多くつくられた。碧玉製のものが多い。

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百科事典マイペディア 「管玉」の意味・わかりやすい解説

管玉【くだたま】

おもに腕輪,首飾などの装身具に使われた円柱状の玉で,長軸にそって細い穴がある。縄文(じょうもん)時代から現れ,弥生(やよい)時代には碧玉(へきぎょく)製,古墳時代は碧玉のほかコハク,ガラスのものもみられる。

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防府市歴史用語集 「管玉」の解説

管玉

 円筒形の玉です。緑色の碧玉[へきぎょく]が多く見られます。アクセサリーとして使われました。

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世界大百科事典(旧版)内の管玉の言及

【玉】より

…これらの玉には,緒を通してつなぐために,貫通した孔があり,それぞれの形と孔の位置とによって,種々の名称がついている。日本でふつうに用いる玉の名称をあげると,勾玉(まがたま),管玉(くだたま),丸玉,棗玉(なつめだま),平玉(ひらだま),算盤玉(そろばんだま),切子玉(きりこだま)などがおもなものである。勾玉は湾曲した体のふくらんだ一端に偏して孔をあけたもの,管玉は細長い管状のもの,丸玉は球状のもの,棗玉は丸玉をやや長くした形のもの,平玉は扁球形で平らな面に平行に孔をあけたもの,算盤玉は二つの截頭円錐体を底面で接合した形のもの,切子玉は二つの截頭角錐体を底面で接合した形のものである。…

【新穂遺跡】より

…その広がりは約4万m2にもおよぶといわれる。これまでの発掘調査では,玉作りに関した工房などの遺構は不明であるが,特に管玉(くだたま)およびその製作途中の未製品が,工具である砥石,石鋸,石針などを伴って豊富に出土したことから,その製作工程が復元可能となった。管玉の原石には,主として赤い鉄石英や緑の碧玉を用いており,他に角玉も作られている。…

※「管玉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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