管弦(読み)カンゲン

デジタル大辞泉 「管弦」の意味・読み・例文・類語

かん‐げん〔クワン‐〕【管弦/管×絃】

管楽器弦楽器横笛などの笛類と、琵琶びわなどのいと類。また、楽器総称糸竹いとたけ・しちく
楽器を演奏すること。特に、雅楽の演奏。また、詩文和歌に対して、音楽をいう。「―の遊び」「詩歌―」
雅楽で、舞を伴わない楽器だけによる演奏形式。

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普及版 字通 「管弦」の読み・字形・画数・意味

【管弦】かん(くわん)げん

管楽と絃楽。〔後漢書、皇后上、和熹皇后紀〕易に羲・農を載せて皇はれ、書にべて崇(たか)し。故にと雖も、必ず功を竹帛に書し、を管弦に(し)く。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「管弦」の意味・わかりやすい解説

管弦
かんげん

(1) 雅楽の演奏様式名。古くは「管絃」と書いた。舞楽に対する。唐楽を,三管 (笙,篳篥〈ひちりき〉,竜笛〈りゅうてき〉) ,両弦 (楽琵琶,楽箏) ,三鼓 (楽太鼓,鉦鼓,羯鼓) で合奏する純粋な器楽合奏の形態。楽器編成は,通例打楽器は各鼓1人ずつ,管楽器は各管3人ずつ (三管通りという。各管楽器1人ずつの場合は一管通り) ,弦楽器は各弦2人ずつとなり,合計 16人前後で行われる。各管楽器の首席奏者を音頭といい,他を助管という。弦楽器は面 (おも) 琵琶,面箏といい,助奏者を助弦という。合奏には一定の形式があり,音取 (ねとり) あるいは調子が序奏されたのち,当曲に入る。曲は笛の独奏で始り,次に打楽器と笙,篳篥,最後に琵琶と箏が加わる。舞の伴奏ではなく,音楽だけを聞かせるもので,テンポは舞楽に比べてゆるやかに,各楽器の技巧が十分に発揮されるように優雅に奏される。曲の終りは,管・弦楽器のリーダーが「止め手」という短い終結句を奏する。なお管弦の演奏会では,器楽合奏だけでなく,その間に催馬楽や朗詠を加えることが多く,これらを含めて管弦ということもある。 (2) 歌舞伎囃子の演奏様式。「かげん」と読む。雅楽の管弦を模したもので,時代狂言御殿の幕あきなどに用いられる。

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百科事典マイペディア 「管弦」の意味・わかりやすい解説

管弦【かんげん】

雅楽の唐楽を,舞を伴わずに楽器だけで演奏すること。当初から管弦のために作曲されたものもあり,また舞楽と共通する曲の場合にも舞楽とは異なり,琵琶と箏(そう)とが合奏に加わり,太鼓と鉦鼓(しようこ)は小型の管弦用のものを使用,調子のかわりに音取(ねとり)を演奏するほか,演奏技巧の上でも,細かい違いがある。
→関連項目雅楽鉦鼓音取竜笛

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世界大百科事典(旧版)内の管弦の言及

【管絃】より


[雅楽における管絃]
 雅楽の演奏において,楽器だけの合奏によって行われるものを,舞を伴う舞楽と区別して管絃という。また,管絃編成で行われる演奏会のことをさすこともあり,その場合は,後に述べるような楽器編成による合奏をプログラムの主体とし,このほかに,管絃伴奏による歌曲や楽器の独奏を組み込んで行われたりもする。 9世紀半ば(承和年間ころ)から,当時唐や三韓などを経て日本に渡来した各種の外来音楽を,質,内容などの点で整理統合したり,編作補作,さらには外国のスタイルに模してしかも日本的好みにかなった作品を作曲するなど,いわば外来音楽の国風化の気運が高まった。…

※「管弦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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