精選版 日本国語大辞典 「筒」の意味・読み・例文・類語
つつ【筒】
〘名〙
① まるく細長くて中が空になっているもの。管。
※竹取(9C末‐10C初)「竹の中にもとひかる竹なん一すぢありけり。あやしがりてよりてみるにつつのなか光りたり」
※曾我物語(南北朝頃)六「烏帽子のつつおしたて、直垂の衣紋ひきつくろい」
② 井戸の側壁を囲んでいるもの。また、井戸の地上の囲い。井戸側(いどがわ)。
※狭衣物語(1069‐77頃か)一「此の井は五六日もありぬべかんなり、井のつつと言ふ物も立てなどしたらんまでこそはおはしまさめ」
③ 酒などを入れる竹筒。小筒(ささえ)。〔名語記(1275)〕
④ 銃身。砲身。転じて、小銃や大砲。
※雑兵物語(1683頃)上「敵間遠て、筒の内を拭ひ、若しは洗もめされよ」
※爺(1903)〈島崎藤村〉「時には鳥銃(ツツ)を肩に懸けて猟に出掛けたりするといふやうな」
⑤ 竹で作り、俵にさしこんで米などを出すもの。「つつ落ち米」
⑥ 「こしき(轂)」の異称。
⑦ 和船の帆柱を立てるときの受材として、船体腰当部に設ける太い柱。下部はかわらと守(子持)で固定され、その上は腰当船梁に堅固に結合して、帆走時の帆柱にかかる大きな力を受けとめる。艫側の面には帆柱の襟肩をはめる溝があって、下部両側に穴をあけ、船玉を納める。また、両側面には筒挟みをとりつけて、その上部で帆柱を雨搦綱(あまがらみつな)でくくる。筒木。筒柱。

※今西氏家舶縄墨私記(1813)坤「筒と子持へ檣を建る」
⑧ 陰茎をいう俗語。
※雑俳・大花笠(1716‐36)「よわいれそ・鶏で仕舞ふた筒の生き」
⑨ 馬のひづめと脚の間の部分。
※説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)七「此むまと申は、むかしつなきて、そののちに、いつることのなけれは、つめはあつうて、つつたかし」
⑩ 「つつもたせ(美人局)」の略。
※浄瑠璃・悦賀楽平太(1692頃)三「ムム聞えた、仕懸者つつじゃつつじゃ」
どう【筒】
〘名〙
① 双六や博打(ばくち)で賽を入れて振り出すつつ。
※催馬楽(7C後‐8C)大芹「これやこの せんばん さんたの木 柞(ゆし)の木の盤 むしかめの止宇(ドウ) 犀角の賽」
② 双六や博打で賽を①に入れて振る役。
※古今著聞集(1254)一二「我はいまだ一度もしり候はねば、どうをば人にゆづり申候はん」
※雑俳・川柳評万句合‐天明五(1785)智六「御かっ手のしうへとどうは弐百出し」
④ 牛車(ぎっしゃ)の部分の名。車輪の中心で、輻(や)が集中している太く丸い部分。その中を車軸が貫いている。轂(こしき)。〔十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ (「胴」とも) 太鼓・鼓(つづみ)などの打楽器で、中央のくりぬいて空洞になった部分。
※江談抄(1111頃)三「太鼓〈略〉左には鞆絵の数三筋也、又筒も赤色採る也」
とう【筒】
〘接尾〙 注射など、筒状の物を数えるのに用いる。
※恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉二七「カンフル百筒(トウ)の注射よりも劇(はげし)く純之助を興奮せしめたので」
つづ【筒】
〘名〙 川に仕掛け、魚を捕える筌(うえ)などをいう。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報