第一共和政(読み)だいいちきょうわせい(英語表記)Première République フランス語

精選版 日本国語大辞典 「第一共和政」の意味・読み・例文・類語

だいいち‐きょうわせい【第一共和政】

フランス最初の共和政。一七九二年、国民公会がルイ一六世の廃位・共和政宣言をしてから、総裁政府・執政政府を経て、一八〇四年のナポレオンの皇帝即位に至るまでをさす。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「第一共和政」の意味・わかりやすい解説

第一共和政
だいいちきょうわせい
Première République フランス語

フランス革命における国民公会成立(1792.9.21)からナポレオンの皇帝就任(1804.5.18)までの、フランス最初の共和政体。第一共和政は、国民公会期、総裁政府期および統領政府期に区分することができ、国民公会期はさらにジロンド派政権期、山岳派独裁期およびテルミドール派政権期に分かれる。普通直接選挙を定めた民主的な山岳派憲法(1793年憲法)は実施されずに終わり、テルミドール派憲法(1795年憲法)で制限選挙に復帰、議会と政府を切り離した総裁政府が二院制・五総裁で発足した(1795.10)。しかし政局は安定せず財政も乱れたため、1799年にシエイエスなどが、政治的自由を狭めて行政権力を強めた統領制憲法を作成し、三統領・三院制を設けた。第一統領ナポレオンは1802年、終身統領となり、さらに2年後皇帝に就任して専制的性格を強めた。フランス銀行が設置されて資本主義発展の礎(いしずえ)が築かれるのもこのナポレオン統領の時期である。

岡本 明]

『西海太郎著『フランス政治史』(1960・学芸書房)』

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百科事典マイペディア 「第一共和政」の意味・わかりやすい解説

第一共和政【だいいちきょうわせい】

フランス最初の共和政。フランス革命期,1792年8月10日のチュイルリー宮殿攻撃および9月21日の王政廃止を経て同22日の共和政宣言から,1804年ナポレオンの皇帝即位まで続いた。政権はブルジョア中心で,不安定だったが,経済的には資本主義発展の基礎が確立した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「第一共和政」の解説

第一共和政
だいいちきょうわせい

フランス共和政

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世界大百科事典(旧版)内の第一共和政の言及

【フランス革命】より

…単に王政が廃止されただけではなく,ブルジョアジーと自由主義的貴族との同盟によって革命を妥協的な形で終結させようとする方式そのものが破産し,内外の強力な反革命勢力を前にして,ブルジョアジーは,民衆や農民の力を借りざるをえず,それらとの同盟によって革命を徹底的に推し進めるほかはなくなったのである。同年9月,さきに91年の憲法によって成立していた議会(立法議会)は解散され,新たに普通選挙によって国民公会が召集され,9月22日をもって共和政が樹立された(第一共和政)。国民公会に代表されていたのは依然としてブルジョアジーであったが,その内部には,民衆や農民との同盟を拒否してブルジョアジーだけの利害を守ろうとする右翼のジロンド派と,革命遂行のためには民衆や農民との同盟が不可避であることを認める左翼の山岳派とがあり,後者は,パリに本部を置き全国に下部組織をもつジャコバン・クラブと密接につながっていた。…

※「第一共和政」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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