笄髷(読み)こうがいわげ

精選版 日本国語大辞典 「笄髷」の意味・読み・例文・類語

こうがい‐わげ かうがい‥【笄髷】

〘名〙 婦人の髪の結い方の一つ。笄に髪を巻きつけたもの。室町時代宮中女官たち下髪を処理するためにしたところから、江戸時代に一般に行なわれるようになったもの。こうがいまげ。こうがいぐる。こうがい。
※波形本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「すすきのやうな髪が〈略〉十筋斗(ばかり)有のをよしよしとかうがいわけじゃ」

こうがい‐まげ かうがい‥【笄髷】

浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二「髪はかうがい曲(マゲ)をなるほど下へ持てゆきて」

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デジタル大辞泉 「笄髷」の意味・読み・例文・類語

こうがい‐わげ〔かうがい‐〕【××髷】

婦人の髪の結い方の一。笄に髪を巻きつけた形のまげ。室町時代に宮中の女官たちが下げ髪をとめるためにしたところから、江戸時代に一般に行われるようになった。こうがいぐる。こうがいまげ。

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世界大百科事典(旧版)内の笄髷の言及

【髪形】より

…毛髪を,剃(そ)る,切る,編む,束ねる,ウェーブをつける,などの方法によってつくられる髪の形。おもに長い髪を束ねて結いあげた髪形をさしていうことが多く,結髪と同じ意味に使われる。性別,年齢,職業など社会的環境を象徴し,またその国,地域の民族色をも反映する。
【日本】

[古代~中世]
 日本人の髪形は東洋民族特有の直毛,黒髪の美を主体として独特な発達を遂げている。《魏志倭人伝》によれば,3世紀ころの日本人は,男は髪を結び垂れて頭を裂(きれ)で巻き,女は髪を結いあげていたようである。…

【笄】より

…髪飾の一種。笄は平安時代中期の《和名抄》には加美賀岐(かみかき)という名でみえている。これは毛筋立の一種で,鬢(びん)の毛を整える用具である。《源氏物語》《宇津保物語》には笄の名がみえ,中世の貴族や武士は守刀に差し込み,携帯し,女性も懐中に入れて,ともに髪搔き用具としたものであろう。近世には,刀の鞘に組み込む形式になった刀装具に笄が用いられている。これも武士の整髪というはじめの目的から,しだいに形式化されたものといわれる。…

※「笄髷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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