竹篦(読み)しっぺい

精選版 日本国語大辞典 「竹篦」の意味・読み・例文・類語

しっ‐ぺい【竹篦】

〘名〙 (「しっぺい」は「竹篦」の唐宋音)
① 竹製の杖(つえ)。ふつう禅宗で用いる法具師家が学人の教導に用いるもの。竹を割ってこれを合わせ、籐(とう)を巻いて漆を塗った、弓に似たもの。しつべい。
※正法眼蔵(1231‐53)画餠拄杖・竹篦をして一老一不老ならしむ」
② 人さし指と中指をそろえて、相手手首などをはじき打つこと。
日葡辞書(1603‐04)「Xippeiuo(シッペイヲ) ハジク」
③ (形動) ①の形に似ているさま。
※今年竹(1919‐27)〈里見弴枯竹「白じろとした額から、しっぺいにさがった眉のあたり」

たけ‐べら【竹篦】

〘名〙
① 竹を削って作ったへら。〔和玉篇(15C後)〕
※俳諧・江戸広小路(1678)「上は脇指中は竹へら 爰元に紙子おどしの鎧着て〈芭蕉〉」

しっ‐ぺ【竹篦】

〘名〙 「しっぺい(竹篦)」の変化した語。

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デジタル大辞泉 「竹篦」の意味・読み・例文・類語

しっ‐ぺい【×篦】

禅宗で、師家が参禅者の指導に用いる法具。長さ60センチ~1メートル、幅3センチほどの、割り竹で作った弓状の棒。
片手の人さし指と中指とをそろえて相手の手首を打つこと。しっぺ。

しっ‐ぺ【×篦】

しっぺい(竹篦)」の音変化。

たけ‐べら【竹×篦】

竹を削って作ったへら。

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改訂新版 世界大百科事典 「竹篦」の意味・わかりやすい解説

竹篦 (しっぺい)

禅家の用いる法具の一種。弓を半分に切ったような,竹製の〈へ〉の字形のもので,握りの部分に籐(とう)を巻き,多く漆塗りにする。〈しっぺい〉は漆篦宋音とされる。

 一般に〈しっぺい〉と呼ぶのは,食指と中指をそろえて相手の手首や甲を打つ遊戯で,〈指しっぺい〉ともいう。簡単な賭事(かけごと)をして勝者敗者に対して行ったり,交互に手をさし出して打たせ,手を引いて空を打たせて興ずるなどの遊び方がある。この遊びから出たことわざが〈しっぺい返し〉で,仕返しをすること,すぐにそれを行うことをいう。なお,日本中に分布する昔話の《猿神退治(さるがみたいじ)》は,人身御供(ひとみごくう)を要求する神を旅人が退治するという話であるが,東日本では〈しっぺい太郎〉という名の犬が登場して,重要な役割を果たすことが多い。《今昔物語集》や《宇治拾遺物語》にもこの話があるが,犬の名はない。なぜ,その犬に〈しっぺい〉の名が与えられたのか,興味ある問題である。
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