端書(読み)はしがき

精選版 日本国語大辞典 「端書」の意味・読み・例文・類語

はし‐がき【端書】

〘名〙
① 文書、手紙などの初頭末尾に、行を改めて書き添えること。また、その語。本来は紙端に書いたもの。おってがき。
蜻蛉(974頃)中「御はしがきは、いかなることにかありけんと
※浮世草子・好色一代男(1682)八「初て首尾しるしにと硯取よせ、〈略〉と下帯に端書(ハシガキ)して」
書物、論文などの初めに、その由来、内容の概要などを記すこと。また、その文章序文端作り。まえがき。⇔後書
※言継卿記‐天文二年(1533)一一月七日「鳳笙之血脈之端書料紙用意、勅筆に今日申入候了」
和歌俳諧などの初めに、その由来などを書き添えたことば。詞書。題詞。端作り。端ことば。
※二根集(1595)三「発句にはし書かんよう也」
④ 文書、書物などの空白部分に傍注、頭注などの書きこみをすること。また、その注記
※御成敗式目唯浄裏書(1232)奥書「仍僕引合法意、引勘本説、注端書
⑤ 特に、起請文の前書をいう。
金剛峯寺文書‐慶長二〇年(1615)六月二六日・大坂役籠城衆起請文「霊社起請文端書之事」

たん‐しょ【端書】

〘名〙
① はしがき。
※中尾源左衛門・浜市右衛門宛芭蕉書翰‐元祿四年(1691)一一月一八日「御状之端書ニ向井平次郎方へも可然頼入候と被遊可然奉存候」

はし‐ぶみ【端書】

〘名〙 序言。まえがき。はしがき。
※俳諧・月居七部集(1828)序「其龍其成この書もて来ていかでいかでとはしふみこはるるままに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「端書」の意味・読み・例文・類語

はし‐がき【端書(き)】

書物や文章の序文。まえがき。⇔あと書き
手紙文の終わりに書き添える文章。追伸。おってがき。
和歌などの前にその由来などを書き添える言葉詞書ことばがき。端作り。
[類語]序文自序前書き序言緒言序章前付け前置き前文プロローグ序詞小序序説序論緒論巻頭言イントロダクション

たん‐しょ【端書】

はしがき。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「端書」の読み・字形・画数・意味

【端書】たんしよ

細楷

字通「端」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の端書の言及

【紙幣】より

…これは保証準備額の固定を避けた点で,より多く銀行主義的であるといえる。
[日本]
日本日本における広義の紙幣の発展史をみると,古くからの記録に残っているものには後醍醐天皇の時代(1319‐39)の楮幣(ちよへい),南北朝末期吉野地方の手形(組合札),慶長年間(1596‐1615)以後の伊勢の端書(はがき)(羽書),元和年間(1615‐24)の大坂の銀七分札(元和札),伊勢の丁銀札,堺の銀札など局地的な紙幣の発行がある。江戸中期以後,諸藩および旗本の封内で通用した国札(藩札),慶応年間(1865‐68)以後の幕府の金札の出現によって広範な通用力をもつ政府紙幣の発行をみる。…

※「端書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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