竜王山(読み)リュウオウザン

デジタル大辞泉 「竜王山」の意味・読み・例文・類語

りゅうおう‐ざん〔リユウワウ‐〕【竜王山】

徳島県美馬市と香川県仲多度郡まんのう町の境にある山。讃岐さぬき山脈最高峰で、香川県の最高峰でもある。尾根上に東竜王(讃岐竜王)・西竜王(阿波あわ竜王)の二つの峰がある。綾川土器どきの源流部にあたる。名の由来は、麓にある竜神をまつった神社がかつては山頂にあったことから。たか山。

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日本歴史地名大系 「竜王山」の解説

竜王山
りゆうおうざん

鈴鹿山脈の一峰で、南東の綿向わたむき山と連山を形成し、標高八二六・三メートル。日野川支流佐久良さくら川の水源となり、頂上には竜神が祀られていて古くから雨乞信仰の対象とされた。西麓に臨済宗永源寺派西明さいみよう寺がある。古くは沼辺ぬまべ山・飛来ひらい峰ともよばれたというが(輿地志略)西明寺領の四至が記される文永三年(一二六六)三月一三日の下文(西明寺文書)に「東到藤截嶺」とあり、同様の同一〇年三月日の関白家政所下文(同文書)には、「東限龍王嶽」とあって、かつては藤截ふじきり山とも称されていた。当地一帯は摂関家領の日野牧(日野御牧)のうちであったが、「兵範記」仁平二年(一一五二)二月巻の裏文書(京都大学蔵)に「彼御牧内不□□山」から丈六仏の原木を藤原道長の命令で調達、また「勘中記」弘安六年(一二八三)一二月四日条によれば京都法成ほうじよう(跡地は現京都市上京区)の浮橋の用材が日野牧の課役とされているが、この用材は当山から伐り出したものとも考えられ、藤原氏の寺院建築や仏像製作用の原木を供給する山であったと考えられる。

竜王山
りゆうおうざん

茨木市北部の北摂山地に位置。標高五一〇メートル。忍頂寺にんちようじ山ともよばれる。地質上は古生界の丹波層群に入込んだ石英閃緑岩の岩体で構成される。北麓を下音羽しもおとわ川、東麓を安威あい川が流れ、南麓・西麓にも開析谷が存在するため独立した山峰をなす。また山麓には下音羽・忍頂寺・安元やすもと車作くるまつくりなどの集落がある。北摂山地は平安時代から中世にかけて山岳仏教・修験道の聖地であり、忍頂寺と竜王山はその修行場であった。「摂津名所図会」は「忍頂寺山 忍頂寺の上方なり。山路最も嶮し。梯を踏んで攀躋はんせいす」と記す。山頂から西へやや下った所に湧水をたたえた池があり、池中に八大竜王を祀った小祠とそれを管理する宝池ほうち寺がある。宝池寺は安永三年(一七七四)弁応の創建という融通念仏宗の寺で、八大竜王の社は宝池寺創立以前は忍頂寺が管理しており、元禄五年(一六九二)の寺社吟味帳(茨木市史)には「竜王之鎮守」とみえる。

竜王山
りゆうおうざん

琴南町と香川郡塩江しおのえ町、徳島県美馬みま郡美馬町にまたがる県内第一の高峰で、最高所の標高は一〇五九・九メートル。山名は頂上に祀られていた竜王社にちなむ。阿讃山地の中央部、約一キロにわたる標高一〇〇〇メートル以上の山系の、東の高所を讃岐竜王、西の高所は阿波竜王と俗称されている。現在竜王社は山麓の集落に移され、頂上には警察の無線中継所が置かれ、NTTのパラボラアンテナが設置されている。

竜王山
りゆうおうざん

本山もとやま半島の北半を占める。番屋ばんやヶ岳と称する北の峰(一三六・二メートル)と南の峰(一一八メートル)の二峰からなる。山名は南の峰にある八大竜王はちだいりゆうおう宮に由来する。「注進案」によれば、八大竜王宮は弘安三年(一二八〇)に綿津見命を祀った神社で、「上御武運長久風雨順時五穀成就海上安全御祈祷仕来候由言伝御座候」とある。

北の番屋ヶ岳は、「地下上申」添付絵図に「のろし場」と記されており、「注進案」にも「狼烟場山壱ケ所 竜王山 但西は吉田御宰判津布田火ノ山より受継、其間直渡、東は宇部岬迄直渡」とある。

竜王山
りゆうおうざん

天理市の東南部にあり、標高五八五・七メートル、西側は春日断層の標式的断層崖に面して屹立する。東背面は布留ふる川の一支流藤井ふじい川の谷、南方の一部は初瀬はせ川の支流巻向まきむく川上流で限られている。山頂に雨乞の神、竜王を祀っている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竜王山」の意味・わかりやすい解説

竜王山
りゅうおうざん

香川県徳島県の両県にまたがる讃岐山脈の最高峰。香川県まんのう町と徳島県美馬市の境に位置する。標高 1060m。和泉層群の砂岩,泥岩互層からなり,山頂に狭い平坦面が残る早壮年期末期の山。中腹にケヤキ,ホオノキの大木があり,ミツバウツギ,メグスリノキ,ジンジソウなどの貴重な群落もみられる。タヌキムササビなども生息する。土器川香東川の源流をなす。北側は急傾斜,南側の緩斜面には標高 700mまで農耕集落が分布する。山頂付近には森林公園があり眺望に優れる。大滝大川県立自然公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「竜王山」の意味・わかりやすい解説

竜王山
りゅうおうざん

徳島県美馬(みま)市と香川県仲多度(なかたど)郡まんのう町の境界にある山。讃岐(さぬき)山脈の最高峰。尾根上に二つのピークがあり、西竜王(1060メートル)、東竜王(1060メートル)とよぶ。和泉(いずみ)層群の砂岩、頁(けつ)岩からなる。東竜王付近にある竜王社は雨乞(あまご)い祈願の神社として知られる。四国管区警察局や日本電信電話会社の無線中継所などがある。登山口は東方の相栗(あいぐり)峠、西方の三頭越(さんとうごえ)からの二つがある。

[高木秀樹]

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改訂新版 世界大百科事典 「竜王山」の意味・わかりやすい解説

竜王山 (りゅうおうざん)

四国の讃岐山脈の最高峰。標高1060m。香川県まんのう町,高松市と徳島県美馬(みま)市の境にあって,標高1000mをこえる峰が連続する。最高点から南東へ50m美馬市側に入ったところに竜王神社があり,それが山名となっている。祭神の弥都波能売(みつはのめ)命は水の神であり,雨乞いが行われたことを物語っている。山頂からの眺望にすぐれ,北に讃岐平野,南に剣山山系の山々が望まれる。
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事典・日本の観光資源 「竜王山」の解説

竜王山

(香川県仲多度郡まんのう町)
香川のみどり100選」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の竜王山の言及

【讃岐山脈】より

…また地形的には,山頂部に平たん面を残す早壮年期の山容を呈すなど,外帯の性格を帯びている。山脈の中央部には,最高峰の竜王山(1060m)をはじめ大川山,大滝山など標高900m以上の山が連なり,東西に向かって低下する。山脈の北側の丘陵は山麓階状をなし,浸食谷にはダムや溜池も多く,讃岐平野の水源地となっている。…

【美馬[町]】より

…かつては和傘の製造が盛んで,1910‐60年ころの最盛期には製造業者150軒,傘関係従業戸数500戸,年間製造本数70万~80万本を数えた。県境に讃岐山脈の最高峰竜王山(1060m)がそびえ,山中に県立青少年野外活動センター,ふもとの山峡に町営美馬温泉保養センターがあり,徳島自動車道が通じる。【赤池 享一】。…

※「竜王山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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