竜河洞(読み)リュウガドウ

デジタル大辞泉 「竜河洞」の意味・読み・例文・類語

りゅうが‐どう【竜河洞】

高知県中部、香美かみ市にある三宝山鍾乳洞。洞内に弥生時代の穴居遺跡がある。天然記念物および史跡

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日本歴史地名大系 「竜河洞」の解説

竜河洞
りゆうがどう

[現在地名]土佐山田町逆川

逆川さかかわ集落の東南方、三宝さんぽう(三二三メートル)中腹にある鍾乳洞で、延長約四キロ。入口が麓、出口が山の中腹にあり、上竜河かみりゆうがより流入する川が洞内で大小二〇余の飛瀑をつくり、甌穴鍾乳石・石筍・石柱などが自然のまま残される。景観雄大で変化に富み、三二ヵ所の名所があるが、なかでも天降あまふり石・前の千本まえのせんぼん玉簾たますだれ滝・記念きねん滝などが有名。出口近くに弥生時代の穴居生活遺跡があり、石灰華に巻かれた長頸土器(神の壺と称される)は著名である。入口より約四〇〇メートルの記念滝までは古くから知られており、承久の乱後土佐に流された土御門上皇が、現香我美かがみ町の脇の磯わきのいその行在所からこの洞に入洞したという伝説から、竜河(竜駕)洞の名が生れたと伝え、入口に竜王神宮が祀られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「竜河洞」の意味・わかりやすい解説

竜河洞 (りゅうがどう)

高知県中東部,香美(かみ)市の三宝山(323m)中腹にある鍾乳洞。天然記念物,史跡に指定されている。石灰岩が地下水の溶解作用を受けて形成された洞内は総延長約4kmに及ぶ。東,中央,西の三つの主洞のほか多数の支洞に分かれ,約1kmが観光コースとして開発されている。鍾乳石,石筍,石柱が幻想的景観を展開し,雪花殿,万象殿,天降石などの名が付けられている。また大小20の地下滝のほか,随所に流礫棚や甌穴(おうけつ)がある。洞内に生息する動物の種類も多く,コウモリ,エビ類,ヤスデ類など101種の洞穴性動物(天)が確認されている。出口近くには弥生時代の洞穴遺跡があり,3室に分かれた住居跡からは土器などが発見されている。付近夢野温泉,若宮温泉などを含む竜河洞県立自然公園中核で,高知県の主要な観光地の一つ。洞の出口には竜河洞博物館などがある。三宝山の尾根伝いに野市(のいち方面から竜河洞スカイライン(1997年無料開放)が通じる。
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弥生時代後期の洞窟住居遺跡。1931年,竜河洞最奥部に住居跡が発見され,多くの獣骨,貝殻,木炭とともに壺,甕,高杯(たかつき)などの弥生土器が検出された。弥生時代には山頂部から出入りしていたようで,10m×10mの第1室から順次下って,7.5m×6.5mの第2室,15m×7.5mの第3室にそれぞれ居住した跡が認められる。特に第3室の壁の下部に鍾乳石におおわれた長頸壺(〈神の壺〉と呼ばれる)がみられるので有名である。
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百科事典マイペディア 「竜河洞」の意味・わかりやすい解説

竜河洞【りゅうがどう】

高知県土佐山田町(現・香美市)にある鍾乳(しょうにゅう)洞(天然記念物・史跡)。三宝山の中腹にあり,洞の延長4.3km。1931年発見。東西の2洞に分かれ,洞内は変化に富み,弥生(やよい)時代の住居遺跡もある。入口付近には博物館,珍鳥センターがあり,土讃線土佐山田駅などからバス。野市町(現・香南市)から竜河洞スカイラインが通じる。
→関連項目鍾乳洞土佐山田[町]

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