竜右衛門(読み)たつえもん

改訂新版 世界大百科事典 「竜右衛門」の意味・わかりやすい解説

竜右衛門 (たつえもん)

初期能面作家生没年不詳。世阿弥の《申楽談儀》などから,福井県東部で南北朝から室町初期ころ活躍した作家のように考えられている。後世の能楽伝書類では十作一人に数え,若い男女や尉の面を得意としたと伝える。世阿弥のころの観世座にはその尉面があったといい,小面や曲見(しやくみ),慈童喝食の類に,彼の作に擬せられるものが多いが,真作を同定することは困難である。
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百科事典マイペディア 「竜右衛門」の意味・わかりやすい解説

竜右衛門【たつえもん】

室町時代能面作者。石川竜右衛門重政十作(じっさく)の一人。越前大野,あるいは京都四条の人とも伝える。女面名手で,現存する女面の中には彼の作品と伝えるものが多い。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「竜右衛門」の解説

竜右衛門 たつえもん

?-? 南北朝-室町時代の能面師。
十作(じっさく)(初期の能面師のうち,もっともすぐれているとつたえられる10人)のひとりとされる伝説的人物。わかい男女面や尉(じょう)面を得意としたという。越前(えちぜん)(福井県)出身。姓は石川。名は重政。

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