立木
りゅうぼく
土地に生えているままの樹木、また、その集団。民法上は、土地の定着物として不動産として取り扱われ(86条)、その所有権は土地所有者に帰属する(242条)。したがって、民法の条文による限り、立木は土地と別に独立の取引対象とならないことになる。しかし、古くから立木はそれが生えている土地から切り離して独立に取引する慣行があり、この取引上の必要に応じるため1909年(明治42)に「立木ニ関スル法律」が制定された。同法に基づき所有権保存の登記がなされた立木は、建物と同じように、地盤の土地から独立した不動産として取り扱われる(2条)。さらに、立木法による登記を経ない立木も、樹皮を削って所有者の名を墨書するなどの明認(めいにん)方法を施すことによって、独立の不動産として取引の対象となることが、判例によって認められている。
[高橋康之]
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たち‐き【立木】
〘名〙
① 庭や山などの
地面に生えて立っている木。〔和玉篇(15C後)〕
※古活字本毛詩抄(17C前)二〇「此様に用に立木をも植たぞ」
② 法律で、土地に生育している樹木の集団。→
りゅうぼく
たて‐き【立木】
〘名〙 (「たてぎ」とも)
① 立ててある木。
②
水流をせきとめるため、杭を立て並べ、横木を添えたもの。しがらみ。
③
高波などのときの
浸水を防ぐため、船の舳
(へさき)などに取り付けた木。
りゅう‐ぼく リフ‥【立木】
〘名〙 土地に生育する樹木、また、その集団。登記することによって、土地から離れた別個の不動産として取り扱われる。〔立木に関する法律(1909)〕
たつ‐き【立木】
〘名〙
※久安百首(1150)秋下「霧こめてたつきも見えぬ杣山にをのばかりこそ音もかくれね〈小大進〉」
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デジタル大辞泉
「立木」の意味・読み・例文・類語
りゅう‐ぼく〔リフ‐〕【立木】
土地に生育する樹木、また、その集団。登記することによって、土地から独立した不動産として扱われる。
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りゅうぼく【立木】
土地に生えているままの樹木をいう。〈たちき〉と読むこともある。通常は集団となっている樹木をさす。法律上,立木が問題とされるのは,それが生立している地盤とは別に独立して所有権等の物権の客体たりうるかという点においてである。民法は,土地およびその定著物を不動産とし(民法86条1項),定著物のうち建物のみを独立の不動産として取り扱うので,立木その他の定著物は原則として土地の一部とされる。したがって,立木は土地所有権に吸収され土地の処分に従う。
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世界大百科事典内の立木の言及
【立木】より
…通常は集団となっている樹木をさす。法律上,立木が問題とされるのは,それが生立している地盤とは別に独立して所有権等の物権の客体たりうるかという点においてである。民法は,土地およびその定著物を不動産とし(民法86条1項),定著物のうち建物のみを独立の不動産として取り扱うので,立木その他の定著物は原則として土地の一部とされる。…
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