窒化ケイ素(読み)チッカケイソ

化学辞典 第2版 「窒化ケイ素」の解説

窒化ケイ素
チッカケイソ
silicon nitride

Si3N4(140.283).高い強度と高い熱伝導率を併せもつ構造用セラミックス.工業的製法として,圧縮ケイ素粉末を直接,窒素またはアンモニア気流中で1200~1500 ℃ で反応させる直接窒化法では,比較的低密度のものが得られる(reaction bonded silicon nitride,RSBN).このほか二酸化ケイ素と炭素の混合粉末を窒素またはアンモニア気流中で1300~1550 ℃ で反応させるシリカ還元法,ハロゲン化ケイ素またはモノシランを1000~1600 ℃ でアンモニアと反応させる気相合成法がある.より過酷な条件下で使用するためには,焼結(sintered silicon nitride,SSN)またはホットプレス(hot pressed silicon nitride,HPSN)する必要がある.灰色の結晶性固体.α相(三方晶系),β相(六方晶系)の2相がある.融点1900 ℃(分解).密度3.20 g cm-3.高温での安定性,強度,クリープ耐性,耐酸化性があり,熱伝導率30 W m-1 K-1(室温).熱膨張率2.5 K-1(室温)とほかのセラミックスに比べて低く,熱ショックに強い.電気抵抗 1012 Ω m 以上.1800 ℃ 以上で分解する.ボールベアリング,切削工具,タービン翼自動車エンジンシリンダーのライニング,過給気ローター,溶接用ノズルなどに用いられるほか,硬度耐熱性を要求される部品材料に使用される.[CAS 12033-89-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「窒化ケイ素」の意味・わかりやすい解説

窒化ケイ素
ちっかケイそ
silicon nitride

高温強度が高く,耐熱衝撃性,耐摩耗性,耐食性,クリープなどに優れた特性を示す。主要化学組成は四窒化三ケイ素 Si3N4 であり,焼結に際して酸化物系助剤が用いられる。非酸化物系セラミックスの中では高い破壊靭 (じん) 性を示し,自動車エンジンなどの高温高強度部材に実用化が進められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android