(読み)たなつもの

精選版 日本国語大辞典 「穀」の意味・読み・例文・類語

たな‐つ‐もの【穀】

〘名〙 (「つ」は「の」の意の古い格助詞)
① 稲の種子。稲。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「粟稗麦豆(まめ)を以ては陸田種子(はたけつもの)とす。稲を以ては水田種子(タナツモノ)とす」
五穀総称穀物
※書紀(720)推古二五年是歳(岩崎本訓)「是歳、五の穀(タナツモノ)、登(みな)れり」

ごく【穀】

〘名〙
米麦などの穀物。穀類。また特に、質の悪い穀物。
御伽草子・戒言(神道物語集所収)(室町末)「されば、くひ物をまいらせんも、ごくのたぐひ」
② 「ごくつぶし(穀潰)」の略。
雑俳・狂俳浦浪集(1854‐60)「飯喰時・ゴクが内証ぶち明る」

こく【穀】

〘名〙 (「ごく」とも) 田畑でつくられ、人が常食にするもの。また、麦、粟、キビヒエ、豆などのこと。特に米をいう場合もある。こくもつ。たなつもの。
続日本紀‐大宝三年(703)七月甲午「以災異頻見年穀不一レ登」
小学読本(1873)〈榊原芳野〉一「箕は穀の塵を去る器なり」 〔礼記‐曲礼下〕

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デジタル大辞泉 「穀」の意味・読み・例文・類語

こく【穀】[漢字項目]

[音]コク(呉)(漢)
学習漢字]6年
米・麦・あわなど、常食とする作物。「穀物穀類五穀雑穀新穀脱穀百穀米穀
[名のり]よし・より
難読穀潰ごくつぶ

たな‐つ‐もの【穀】

《田からとれる物の意》
稲の種子。また、稲。
「稲を以て―と為す」〈神代紀・上〉
穀物。
五つの―を送り給ふ」〈天智紀〉

こく【穀】

人がその種子などを食用にする農作物。米・麦・豆など。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「穀」の解説

穀 (コウゾ)

学名Broussonetia kazinoki
植物クワ科の落葉低木

穀 (カジ)

植物。クワ科の落葉小高木・高木,薬用植物カジノキ別称

穀 (タナツモノ)

植物。イネ科の一年草,薬用植物。イネの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【米】より

…また収穫以後の炊飯に至るまでの諸操作においては,米の味を損なわないようにすることが必要である。例えばもみの火力乾燥では急速な乾燥を避け,穀温を40℃以上に上げないようにする。玄米の貯蔵では夏季でも低温貯蔵を行う。…

※「穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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