稗官(読み)ハイカン

デジタル大辞泉 「稗官」の意味・読み・例文・類語

はい‐かん〔‐クワン〕【×稗官】

古代中国官名民間風聞を集めて王に奏上した下級役人。転じて、身分の低い小役人
1が集めた民間伝承伝説。また、小説。→稗史はいし
[類語]小説物語作り話創作稗史はいしフィクションノベルロマンはなし叙事ストーリーお話虚構説話口碑こうひ伝え話昔話民話伝説言い伝え

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「稗官」の意味・読み・例文・類語

はい‐かん ‥クヮン【稗官】

〘名〙
① (「稗」はヒエ。つまらぬ穀物の意) 中国で、古代にあったとされる官。王者が世情風俗を知るため、民間の伝説、物語を探り、それを書きとめて奏上させた小役人。ひいて下級官吏。〔漢書芸文志
② (①から) 民間の物語。伝説。ひいて作り物語。また、小説を卑しめて呼ぶ語。稗史
史記抄(1477)一五「縦横家者流は街談稗官から出た事ぞ」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇「下等の情態を写し、卑俗言語を用ふるは、元来稗官(ハイクヮン)の得意とする所」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の稗官の言及

【稗史】より

…中国で物語や民間の言い伝えを記録した文芸をいう。それが稗と呼ばれるのは,《漢書》芸文志に〈小説家の一派は,思うに稗官から出た〉とあり,〈街談巷説,道聴塗説〉を記録して小説が作られたとあるのによる。稗はヒエなどの穀物であるが,注によれば,こまごまとした小さな話を記録するから稗官というのだとも,その官職自体が小さいのでそう呼ばれたのだともいう。…

※「稗官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android