移転可能な開発権(読み)いてんかのうなかいはつけん(英語表記)Transferable Development Rights; TDR

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「移転可能な開発権」の意味・わかりやすい解説

移転可能な開発権
いてんかのうなかいはつけん
Transferable Development Rights; TDR

ある土地の既存建造物の未利用容積率を別の土地に移転して利用できる権利。歴史的建造物の保存,自然環境の保全,都市環境の維持を目的に,保存や保全の対象となる土地の開発許容容積率のうち,未利用容積率を有償隣接地や開発地に移転し活用する。アメリカ合衆国制度化された。土地の開発許容容積率をその土地に付随した開発権と考える。未利用容積率を譲渡された土地は,本来の開発許容限度の容積率に,移転された容積率を加算することが許される。土地利用の高度化・効率化を求められる今日,都市計画手法の一つとして期待されている。日本では,1999年に連担建築物設計制度建築基準法 86条2項),2001年に特例容積率適用地区(建築基準法 57条の2)が施行され,未利用容積率を別の土地に移転するための制度が導入された。(→区分地上権

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android