秦兆陽(読み)しんちょうよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秦兆陽」の意味・わかりやすい解説

秦兆陽
しんちょうよう / チンチャオヤン
(1916― )

中国の小説家。河北(かほく/ホーペイ)省出身。抗日戦初期に延安解放区に入り、1943年ごろから小説を書きだし、童話ツバメの大旅行』(1950)がある。短編集『幸福』(1951)、『農村散記』(1954)は革命でよみがえった農民生活を明朗かつこまやかに活写し、その柔軟なリアリズム論は『公式化概念化について』(1953)にまとめられている。55年『人民文学』副編集長となり、持論を活発化したが、『リアリズム―広い道』(1956)などで「反右派闘争」の攻撃目標となり、以後20年間広西(こうせい/カンシー)で苦しい生活を体験した。文化大革命終結後名誉を回復して、長編『両世代』を執筆

[木山英雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の秦兆陽の言及

【児童文学】より

…その後,林蘭(りんらん)の名による民話の収集整理,老舎の長編《小坡の誕生日》(1930)をはじめ,巴金(はきん),謝冰心(しやひようしん),茅盾(ぼうじゆん),張天翼(ちようてんよく)らの創造活動によって前進をとげた児童文学は,中華人民共和国の成立後,国家的事業として飛躍的に発展しつつある。 新中国の児童文学を代表する張天翼の小説《羅文応の話》(1954),秦兆陽(しんちようよう)の童話《ツバメの大旅行》(1950),そのほか詩,劇,伝記,科学読物などさまざまなジャンルにわたって,革命後の成果が1954年の国際子どもデーに表彰された。児童文学の創造は中国作家協会の中心的課題にすえられて大いに力が注がれ,革命闘争,抗日戦争や社会主義建設に取材した作品や民話の発掘と再創造の仕事など,多面的な発展がみられた(この点は,解放された朝鮮においても同様である)。…

※「秦兆陽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」