秋萩帖(読み)あきはぎじょう

精選版 日本国語大辞典 「秋萩帖」の意味・読み・例文・類語

あきはぎじょう ‥デフ【秋萩帖】

小野道風筆と伝える平安中期の書跡。「万葉集」などの歌四八首と王羲之の手紙五七行を万葉仮名草体で書き写したもの。書名巻頭の歌「あきはぎの…」に由来する。国宝

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デジタル大辞泉 「秋萩帖」の意味・読み・例文・類語

あきはぎじょう〔あきはぎデフ〕【秋萩帖】

平安中期の書の巻子本かんすぼん小野道風筆と伝えられる。万葉集などの和歌48首と王羲之おうぎしの手紙を、草書体万葉仮名で書いたもの。書名は巻頭の歌「あきはぎの…」による。秋萩歌巻。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋萩帖」の意味・わかりやすい解説

秋萩帖
あきはぎじょう

平安時代の書巻。色がわりの料紙を継いだ巻物に、「あきはぎの……」以下48首の和歌を書写し、さらに王羲之(おうぎし)の尺牘(せきとく)(手紙)を臨書している。巻頭の一紙と、唐時代の書写と思われる『淮南子(えなんじ)』の紙背(しはい)を転用した第二紙以下とでは筆者が異なり、後者前者模本と推定される。

 古来、第一紙を小野道風(とうふう)、第二紙以下を藤原行成(ゆきなり)の筆跡と伝えるが、所収の和歌の成立時期、音韻史的にみた仮名づかいや、書風の検討から、この伝承を支持する説が提出されている。草仮名の典型的遺品である。国宝。東京国立博物館蔵。

松原 茂]

『古谷稔著『秋萩帖論考』(1972・墨水書房)』


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「秋萩帖」の解説

秋萩帖
あきはぎじょう

平安時代の草仮名(そうがな)の代表的な書の巻子本。巻首に「あきはぎの」(「古今集」巻4)の歌があり,江戸時代に模刻本が刊行され,巻子本でありながら「秋萩帖」とよばれる。(1)第1紙(和歌2首,麻紙がかった楮紙),(2)第2紙以下(和歌46首,楮紙),(3)第16紙以下巻末まで(王羲之(おうぎし)書状臨写11通),(4)上の(2)と(3)の裏(淮南鴻烈兵略間詁第廿),に区分される。第1紙は,古意豊かな品位に富む草仮名で小野道風(みちかぜ)の書と伝えるが確証はない。第2紙以下は運筆に遅渋のあとがみえ表現が散漫。藤原行成(ゆきなり)・伏見天皇など,時代・筆者推定に諸説ある。料紙裏の継ぎ目に伏見天皇の花押(かおう)があり,御物であったことが知られ,のち霊元天皇・有栖川宮家・高松宮家に伝えられ,現在は東京国立博物館蔵。国宝。

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