秋芳洞(あきよしどう)(読み)あきよしどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋芳洞(あきよしどう)」の意味・わかりやすい解説

秋芳洞(あきよしどう)
あきよしどう

山口県西部、美祢(みね)市秋芳町(しゅうほうちょう)秋吉にあり、石灰岩台地として知られる秋吉台の南麓(なんろく)に開口する鍾乳(しょうにゅう)洞。特別天然記念物。かつて滝穴(たきあな)とよばれていたが、1926年(大正15)皇太子訪問のおりに、「秋芳洞」と命名された。「しゅうほうどう」ともいう。

 黒谷支洞のほかはほとんど支洞のない規模の大きい水平洞で、洞口の高さ24メートル、幅8メートル、水量の多い地下河川をもつ湧水(ゆうすい)洞で、広谷の谷底平野を流れる稲川水源をなす。探検されている琴ヶ淵(ことがふち)までは約2キロメートル、その奥は水中洞となり、秋吉台北東麓の白魚(はくぎょ)洞までつながり、全長は推定10キロメートルに及ぶ。見学コースは洞口から約1.5キロメートルの間に照明や探勝路が整備され、洞奥の人工トンネルやエレベーターで台上に出られる。洞内は「千畳敷」付近がもっとも広く、最大幅80メートル、高さは30メートルもある。洞窟(どうくつ)生成物もよく発達し変化に富んでいて、石灰華段丘の「百枚皿」、巨大な石灰華柱の「黄金柱(こがねばしら)」や「洞内富士」、流華石の「土筆(つくし)石」や「くらげの滝のぼり」、特異な形の石筍(せきじゅん)の「巌窟王(がんくつおう)」などみるべきものが多い。洞穴内にはキクガシラコウモリなどのほか、退色したり、目が退化した好洞生物が生息する。なお、秋芳洞をつくりだした地下水系は「秋吉台地下水系」として2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。東海道・山陽新幹線新山口駅などからバスが通じる。

三浦 肇]


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