秋元松代(読み)アキモトマツヨ

デジタル大辞泉 「秋元松代」の意味・読み・例文・類語

あきもと‐まつよ【秋元松代】

[1911~2001]劇作家神奈川の生まれ。秋元不死男の妹。三好十郎師事。売春婦問題を扱った「もの云わぬ女たち」のほか、主な作品に「常陸坊海尊」「かさぶた式部考」「七人みさき」「近松心中物語」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋元松代」の意味・わかりやすい解説

秋元松代
あきもとまつよ
(1911―2001)

劇作家。横浜に生まれる。三好十郎主宰の戯曲研究会から出発し、『礼服』(1949)、『婚期』(1952)などの一幕物で認められた。やがて多幕物に向かうとともにテーマも社会的広がりをみせ、底辺に生きる女性群像を描いた『ものいわぬ女たち』(1954)、『村岡伊平治伝』(1960)などを経て、『常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)』(1964)、『かさぶた式部考』(1969)により土俗を視座とする独自の民衆劇の方向を開拓した。以後『きぬという道連れ』(1974)、『七人みさき』(1975)などを発表、一作ごとに重厚味を加え、蜷川幸雄(にながわゆきお)演出の『近松心中物語』(1979)、『元禄(げんろく)港歌』(1980)以降大劇場にも進出。ラジオ、テレビ作品も多い。俳人秋元不死男(ふじお)の実妹。

[大島 勉]

『『秋元松代全作品集』全3巻(1976・大和書房)』『『秋元松代戯曲集』(1962・文学散歩出版部)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秋元松代」の意味・わかりやすい解説

秋元松代
あきもとまつよ

[生]1911.1.2. 神奈川
[没]2001.4.24. 神奈川
劇作家。横浜吉田小学校卒業。 1946年,三好十郎主宰の戯曲研究会に入り劇作修業。 49年『礼服』を雑誌『劇作』に発表。土俗信仰の貴種流離譚に日本の精神風土をみた『常陸坊海尊』 (1964) ,『かさぶた式部考』 (69) で,一躍現代の代表的作家の一人となった。 79年に帝劇で蜷川幸雄演出により初演した『近松心中物語』が大ヒット,以後商業劇場にも作品を提供。毎日芸術賞 (69) など受賞。『秋元松代全作品集』 (3巻) その他の著書がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「秋元松代」の解説

秋元松代 あきもと-まつよ

1911-2001 昭和後期-平成時代の劇作家。
明治44年1月2日生まれ。秋元不死男の妹。昭和21年三好十郎主宰の戯曲研究会にはいる。「ものいわぬ女たち」などを発表,「常陸坊(ひたちぼう)海尊」「かさぶた式部考」で独自の民衆劇を確立し,数々の賞をうける。おもな作品に「七人みさき」「近松心中物語」など。平成13年4月24日死去。90歳。神奈川県出身。

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