私語(読み)ささめごと

精選版 日本国語大辞典 「私語」の意味・読み・例文・類語

ささめ‐ごと【私語】

[1] 〘名〙 (「さざめごと」とも) 声をひそめて話すこと。また、そのことば。ささやき。
ひそひそ話内証話。ささめきごと。〔観智院本名義抄(1241)〕
ささめごと(1463‐64頃)上「これは伏屋(ふせや)がしたのささめごとなれば、壁の耳もおぼつかなからず」
男女間のむつごと。恋のささやき。
※為忠集(鎌倉中か)「うらやまし今宵(こよひ)はあはむ七夕(たなばた)のささめごとせむ積ることのは」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「他愛無い私事(サザメゴト)ばかりに酔はされてゐたのである」
[2] (ささめごと) 連歌論書。二巻。心敬著。寛正四年(一四六三執筆。翌年改訂増補を加え、現在異本が二種ある。連歌の歴史、作り方、作法などを問答体で細かく説明したもの。中世の代表的文学論で、連歌・和歌・仏道の同一性を説き、連歌修行即仏道修行といった人格主義的理想論を展開。

し‐ご【私語】

〘名〙 ささやくこと。ひそかにはなすこと。また、その話。ささめごと。
台記‐保延二年(1136)一〇月一一日「知信召武道私語曰、問刻限、帰来は、亥二点と可申之由、相語也」
※あひゞき(1888)〈二葉亭四迷訳〉「漸く聞取れるか聞取れぬ程のしめやかな私語の声」 〔後漢書‐光武紀〕

ささめ【私語】

〘名〙 (「さざめ」とも) 「ささめごと(私語)」の略。
※浮世草子・近代艷隠者(1686)二「一生閨(ねや)に私語(ササメ)せん事も絶(たへ)にしよとおもへば」

ささ‐めき【私語】

〘名〙 ささめくこと。また、そのことば。特に、男女間のむつごと。恋のささやき。ささめごと。
海道記(1223頃)蒲原より木瀬川貴妃の私語(ささめき)、再び唐帝の思(おもひ)に還る」

ささめき‐ごと【私語】

〘名〙 ひそひそばなし。内証話。ささめごと。ささやきごと。
源氏(1001‐14頃)若菜上「あやしく、うちうちにのたまはする御ささめき事どもの、おのづからひろごりて」

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デジタル大辞泉 「私語」の意味・読み・例文・類語

し‐ご【私語】

[名](スル)
ひそかに話すこと。ささやくこと。
「聞き取れるか聞き取れぬ程のしめやかな―の声で」〈二葉亭訳・あひゞき
公の場であるにもかかわらず、自分たちだけでひそひそと勝手な話をすること。また、その話。「私語を慎む」
[類語]耳語密語内緒話ひそひそ話耳打ち耳こすり囁く

ささめき‐ごと【私語】

ささめごと」に同じ。
「うちうちにのたまはする御―どもの、おのづから広ごりて」〈・若菜上〉

ささめ【私語】

《「さざめ」とも》「ささめごと」の略。
「一生ねやに―せん事も絶えにしよと思へば」〈浮・近代艶隠者〉

ささめ‐ごと【私語】

《「さざめごと」とも》ひそひそ話。ないしょ話。特に、男女間の恋の語らいをいう。ささめきごと。
[補説]書名別項。→ささめごと

ささ‐めき【私語】

ささめくこと。ひそひそ話。ささやき。また、男女のむつごと。
「貴妃の―、再び唐帝の思ひにかへる」〈海道記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「私語」の読み・字形・画数・意味

【私語】しご

ささやく、ひそかに話す。唐・白居易長恨歌〕詩 七七日、長生殿 夜人無く私語の時 天に在りては願はくは比の鳥と作(な)らん 地に在りては願はくは理の枝と爲らん

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