福井市(読み)フクイシ

デジタル大辞泉 「福井市」の意味・読み・例文・類語

ふくい‐し〔フクゐ‐〕【福井市】

福井

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「福井市」の解説

福井市
ふくいし

面積:三三九・二二平方キロ

九頭竜くずりゆう・日野・足羽あすわなどの諸川によって堆積された福井平野南部に位置し、北から東南にかけて坂井郡・吉田郡・足羽郡、南から南西にかけて鯖江市・丹生郡に接し、西は日本海に面する。九頭竜川・足羽川の堆積作用が大きく、地勢はほぼ東より西に向かって微傾斜するが、現在の福井市街は沈降性の足羽山地・八幡はちまん山地に沿うように流れる足羽川を挟んで発達した。明治二二年(一八八九)足羽郡より旧福井城下町の地域を割置して市制を施行、その後周辺の町村を併合して拡大し、足羽郡や北隣の吉田郡は大部分が福井市域に編入された。

福井の旧称は北庄きたのしようであった。北庄の起源については、「大日本地名辞書」の足羽御厨北説(「福井の旧名北ノ庄と云ひ、即足羽ノ御厨の北ノ庄なり」という)、「足羽社記略」の足羽やしろ庄の北説(「当社荘北之故、此謂曰北荘」という)がある。延文二年(一三五七)一二月二日付朝倉遠江守高景宛足利尊氏下文(「朝倉家記」所収)に「可早領知越前国足羽北庄預所職之事」とあるのが北庄の初見で、また文明三年(一四七一)八月の本願寺蓮如の消息に「抑この方北庄一里五十町のあひだ念仏同行の坊主達」とあるように、室町時代の文献に北庄の地名が散見される。天正三年(一五七五)柴田勝家による北庄城の築城、城下の形成によって、越前国の首邑として発達した。寛永元年(一六二四)松平忠昌が越後高田たかだ(現新潟県上越市)から入って越前松平家の三代を襲封したのを契機に、福居ふくいと改められた(貞享元年作成の「秀康・忠昌・光通三代譜」松平文庫蔵)。北庄の北は敗北に通じるとの理由からである。従来、北庄から直ちに福井と改称されたとして、天守閣脇の「福の井」、または足羽社五徳の神の一つ「福井神」起源説などがあったが、寛永以降元禄頃までの絵図や公私文書に「福居」と記されるから、北庄から福居、そして元禄一四年(一七〇一)の幕府提出の国絵図作成の時、福井に改められたと考えられる。貞享三年(一六八六)の大法で減封され、国主格から城主格に転落した際、幕府より下付された御内書に「福井侍従どの」と明記されたことによるらしい。

〔原始・古代〕

当市域における縄文遺跡は、北堀きたぼり貝塚やはやし遺跡など周辺の山麓や扇状地に、また弥生遺跡としては、平野部に荒木あらき遺跡・上河北かみこぎた遺跡などが散見され、肥沃な福井平野には農耕文化も起こって、生江氏・阿須波氏などの豪族が勢力を伸ばし、古墳前期の原目山はらめやま墳墓群、同中期の足羽山古墳群や木田きだの住居遺跡などを残している。

福井市
ふくいし

2006年2月1日:福井市が足羽郡美山町、丹生郡越廼村清水町を編入
【美山町】福井県:足羽郡
【福井市】福井県
【清水町】福井県:丹生郡
【越廼村】福井県:丹生郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福井市」の意味・わかりやすい解説

福井〔市〕
ふくい

福井県北部,福井平野の中央部を占める市。西部は丹生山地を経て日本海岸に及び,東部は越前中央山地に連なる。九頭竜川足羽川日野川が流れる。県庁所在地。1889年市制。1951年西藤島村,1954年社村,西安居村の 2村,1955年中藤島村,1957年大安寺村の一部と河合村,麻生津村の 2村,1959年国見村,1961年藤岡村,1963年殿下村,1967年川西町,森田町の 2町,1971年足羽町,2006年美山町,越廼村,清水町の 2町 1村をそれぞれ編入。古くは北庄と呼ばれ,江戸期に現地名に改称。中心市街地は足羽川北岸にあり,柴田勝家の築城が始まりといわれる。近世は福井藩松平氏城下町。1881年県の成立とともに県庁が置かれた。1945年の空襲,1948年の福井地震により壊滅状態となったが,都市計画に基づき再建された。「織物王国」の県にあって第一の生産地を誇り,郊外には大規模工場や染色,加工の一貫工場がある。機械,プラスチック,食品加工業も活発。北部海岸の三里浜はラッキョウ栽培で知られる。沿岸部の集落では巻網漁業や一本釣りが行なわれ,カニ,ウニなどがとれる。山間部にはスギの美林が広がり木工業が盛ん。寺院,神社が多く,南東の足羽川流域には朝倉氏の越前経営の本拠となった一乗谷朝倉氏遺跡(→一乗谷城)があり,国の特別史跡に指定。養浩館(旧御泉水屋敷)庭園は国の名勝,一乗谷朝倉氏庭園は国の特別名勝。市街地北部に国指定史跡,燈明寺畷新田義貞戦歿伝説地がある(→新田義貞)。南部の賀茂神社で行なわれる睦月神事は国指定重要無形民俗文化財。福井城址は県庁となり,本丸の石垣と内堀のみを残す。海岸部の亀島周辺から南にかけての越前海岸一帯は越前加賀海岸国定公園に属し,特に南西端のスイセン群生地は景色がよい。JR北陸本線,えちぜん鉄道,国道8号線,416号線が縦横に,海岸沿いを国道305号線が走り,北陸自動車道が南北に延びる。面積 536.41km2。人口 26万2328(2020)。

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