日本大百科全書(ニッポニカ) 「禁忌(医学、薬学)」の意味・わかりやすい解説
禁忌(医学、薬学)
きんき
contraindication
医学および薬学でいう禁忌とは、適応させてはいけないという意味であり、反適応とか禁忌症ともよばれる。医薬品の適応上、症状を悪化させるとか、重篤な副作用が現れる場合に用いられる。たとえば、アトロピンなどの副交感神経遮断作用を利用した鎮けい剤は、緑内障や前立腺(せん)肥大による排尿障害のある患者には禁忌であり、アスピリンはアスピリン・サリチル酸製剤過敏症の既往歴をもつ者、消化性潰瘍(かいよう)やアスピリン喘息(ぜんそく)の患者には禁忌といった例がある。このほか、温泉療法の禁忌症などのように、診断、予防、治療のために行ういっさいの医療行為のうち、人体になんらかの悪影響を与えるものをさすこともある。なお、薬剤の組合せのうち、配合したときになんらかの変化を生じ、そのままでは患者に適応できない場合、配合禁忌とよんでいる。
[幸保文治]
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