神経質(読み)しんけいしつ

精選版 日本国語大辞典 「神経質」の意味・読み・例文・類語

しんけい‐しつ【神経質】

〘名〙 (形動)
外界からの刺激や環境の変化、身体の変調に対し過敏に反応を起こしやすい素質。一般に、神経が過敏である性質、あるいはそういう性質であるさまをいい、病理的症状として現われる神経衰弱神経症とは異なる。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「髪に癖ある様子なんどは、神経質(シンケイシツ)人物らしく」
物事を行なうに当たって、細かいところまで配慮して念入りなさま。またそこから一般に、気にしなくてよいような細かいところを気にかける性質をいう。
三四郎(1908)〈夏目漱石〉七「家庭的な人ぢゃない。其代り学問にかけると非常に神経質(シンケイシツ)だ」

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デジタル大辞泉 「神経質」の意味・読み・例文・類語

しんけい‐しつ【神経質】

[名・形動]
情緒的に不安定で、わずかなことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質
細かいことまでいちいち気に病むさま。「見かけによらず神経質な男」「他人の評価に神経質になる」
[類語](1病的クレージーいかれる凝り性マニアックモノマニアモノマニアック偏執狂執念深いアブノーマル異常異様狂的ディレッタント物好き酔狂好事家こうずかおたく狂い気違いマニアつうこだわりこだわる道楽れ者凝り屋執拗しつようしつこいサブカルチャー/(2細かいこまやか木目きめ細か細心綿密細緻さいち緻密繊細デリケートデリカシーナーバス鋭敏過敏敏感多感聡い感じ易いセンシティブエモーショナル

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改訂新版 世界大百科事典 「神経質」の意味・わかりやすい解説

神経質 (しんけいしつ)

神経質は,取越苦労,小心,繊細,物事によく気がつくなどの性格特徴を示す一般用語としてよく使われるが,森田正馬はこの言葉を〈神経症〉の一類型として使用した。すなわち森田は,今日われわれがいう適応障害(神経症)を神経質とヒステリーに二大別し,神経質をさらに普通神経質(不眠症,頭重・頭痛,頭内もうろう,感覚異常,疲労亢進,能率減退,脱力感,胃腸神経症,劣等感,小心,取越し苦労,性的障害,めまい書痙耳鳴り,振戦,記憶不良,注意散漫など),強迫観念対人恐怖,不潔恐怖,疾病恐怖,不完全恐怖,読書恐怖,卒倒恐怖,外出恐怖,吃音恐怖,罪悪恐怖,縁起恐怖,尖鋭恐怖,雑念恐怖,高所恐怖,せんさく癖など),発作性神経症(心悸亢進発作,不安発作,呼吸困難発作など)に分けて説明した。これらの症状は非器質性で,訴えに相当する身体的な病変は見当たらない。この種の適応障害には森田療法が最も有効な治療手段であるとされている。
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百科事典マイペディア 「神経質」の意味・わかりやすい解説

神経質【しんけいしつ】

(1)森田正馬の独自の神経症理論に基づいた神経症の一型。通常,森田神経質と呼ばれる。神経衰弱不安神経症強迫神経症を含む。→森田療法(2)普通人が平気で耐えることができる刺激によって神経衰弱状態になる心的性質。
→関連項目心臓神経症

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神経質」の意味・わかりやすい解説

神経質
しんけいしつ
nervousness

精神科医,森田正馬 (1874~1938) によって研究され,日本語のまま各国で用いられるほど有名になった概念。不眠,頭痛,脱力感,取越し苦労,めまい,注意散漫などを主徴とする普通神経質と,対人恐怖,不潔恐怖,疾病恐怖,尖鋭恐怖などを主徴とする強迫観念症,そして心悸亢進,呼吸困難,不安などが発作的に現れる発作性神経症の3タイプに分類される。自分の精神状態に対して強く反省,批判することが特徴である。治療は森田の創案した森田療法が有効。

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栄養・生化学辞典 「神経質」の解説

神経質

 (1) 精神的,身体的な不安定さから過敏に興奮したり,いらいらする状態.(2) ノイローゼといわれる症状の一つ.

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