神社神道(読み)じんじゃしんとう

精選版 日本国語大辞典 「神社神道」の意味・読み・例文・類語

じんじゃ‐しんとう ‥シンタウ【神社神道】

〘名〙 全国各地に鎮座する氏神をはじめ、広く神としてまつる神社、およびこれにともなう祭祀儀礼を中心に展開している信仰形態の総称。明治一五年(一八八二)以降に成立した教派の神道(教派神道)と区別するために用いられ、第二次世界大戦後通用している。

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デジタル大辞泉 「神社神道」の意味・読み・例文・類語

じんじゃ‐しんとう〔‐シンタウ〕【神社神道】

その土地の神社を中心に、祭りその他の行事を通して氏子との地縁的な結びつきを基礎とする神道。→教派神道神道

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神社神道」の意味・わかりやすい解説

神社神道
じんじゃしんとう

神道を各種分類区分して称するなかの一つ。もっとも一般的な分野の称。伊勢(いせ)の神宮を本宗(ほんそう)として、全国の神社を崇敬し、その祭祀(さいし)を中心として民族の道統を受け継ぎ、文化を形成する民族の精神的な営みのこと。1882年(明治15)以降、教義・教法をたて教団を組織した出雲大社(いずもおおやしろ)教、黒住(くろずみ)教などを教派神道と呼称したことに対して、それと区別するため、それまでの鎮守社(ちんじゅしゃ)、氏神(うじがみ)など全国の神社を中心とする祭祀儀礼を含めた信仰組織的なものを神社神道と称したことに始まる。すなわち、その当時、教派神道は宗教として国家の支援、保障を受けることはなかったが、神社神道は行政上宗教にあらずとして、国家の支援、保障を受けた。

 しかし、この語は当時定着せず、その概念もあいまいであったため、1945年(昭和20)占領下の連合国最高司令部(GHQ)より出されたいわゆる神道指令のなかで、国家神道と対立する語として用いられた。すなわち、国家神道とは政府で保障・支援・保全・監督した国教的なもの、国民を統合させるための国家教学的なものを称したのに対し、神社神道とは、民間的また個人的な一般宗教的な営みをさすものとし、国家神道は禁止し、神社神道は承認したのである。現在、全国神社の包括団体である宗教法人神社本庁の庁規のなかでも、この語が、初めに記したような内容の語として用いられ、神社界では一般語として使用されている。

[鎌田純一]

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知恵蔵 「神社神道」の解説

神社神道

国家神道」のページをご覧ください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神社神道」の意味・わかりやすい解説

神社神道
じんじゃしんとう

神社信仰を軸にして行われる神道。教派神道と区別していう。教派神道は文部省宗教局において仏教,キリスト教とともに取扱われたが神社神道は宗教ではなく,国家の宗祀として,内務省の外局である神祇院で取扱われた。 1945年の神道指令で,神社神道は国家から分離し,教派神道と同じく宗教とみなされ神祇院は廃止された。地域共同体によって尊崇される氏神への信仰から,伊勢神宮をはじめ全国に鎮座する神社 (約8万 6000社) への信仰まである。内容は広く多岐で,一括して1つのイメージを与えることは困難であるが,原始共同体的な地域守護神への信仰から,のちに国家神道に結実した伊勢神宮への国民的崇拝まで,その多様性にこそ神社神道の特徴がある。現在は伊勢神宮を本宗とし,包括団体として神社本庁が東京都渋谷区におかれている。

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百科事典マイペディア 「神社神道」の意味・わかりやすい解説

神社神道【じんじゃしんとう】

神道の宗教学的・行政的分類の一つ。教派神道に対する。広義には神社を中心に発達した神道をいい,第2次世界大戦前は国家の管理下にあった。戦後は宗教法人として出発した神社の宗教名として用いられることもある。
→関連項目宗教法神社

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「神社神道」の解説

神社神道
じんじゃしんとう

広義には神社を信仰対象とするすべての神道をさすが,狭義では明治期以降の国家神道をさす。神仏分離により,非宗教の国家祭祀となった。天皇を現人神(あらひとがみ)として信奉し,天皇の祖神を祭る伊勢神宮を中心に神社を体系化し,国民に神社参拝・伊勢遥拝などを義務づけるものであり,国民生活に大きな影響を与えたが,第2次大戦後禁止された。その後,神社本庁などの宗教団体として再出発した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「神社神道」の解説

神社神道
じんじゃしんとう

明治時代以後の国家神道
維新政府は国家が神社の祭祀をつかさどる制度を確立し官・国幣社 (かん・こくへいしや) 制をつくり,国家権力によって神社を保護した。国家はこの神道思想をもって天皇権威の強化をねらい,国民教化に利用。1945年敗戦により国家と神社の関係は否定された。

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