神奈川奉行(読み)カナガワブギョウ

デジタル大辞泉 「神奈川奉行」の意味・読み・例文・類語

かながわ‐ぶぎょう〔かながはブギヤウ〕【神奈川奉行】

江戸幕府職名神奈川開港場における外国関係の事務一切を取り扱った。安政6年(1859)老中支配下に設けられた。

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精選版 日本国語大辞典 「神奈川奉行」の意味・読み・例文・類語

かながわ‐ぶぎょう かながはブギャウ【神奈川奉行】

〘名〙 江戸幕府の役職名。神奈川開港場の居留外国人の保護日本人との問題処理と税関事務を担当。安政六年(一八五九六月設置奉行所横浜に設ける。老中支配。二千石高。役料千石。
続徳川実紀‐安政六年(1859)九月一七日)「神奈川奉行支配向御宛行之儀」

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改訂新版 世界大百科事典 「神奈川奉行」の意味・わかりやすい解説

神奈川奉行 (かながわぶぎょう)

江戸幕府の役職で,神奈川(横浜)での外交事務をおもに担当した。神奈川開港直後の1859年7月3日(安政6年6月4日)に置かれ,当初外国奉行の兼帯であった。場所高は2000石,長崎奉行の上席で,神奈川奉行を兼帯する外国奉行は,手当として年に300両の支給を受けた。翌60年10月28日(万延1年9月15日)からは専任の役職となり,場所高2000石,役料1000俵と定められた。神奈川奉行の職務は,外国軍艦商船の入出港および貿易に関する事務,洋銀引換え,外国領事との折衝,開港場の治安維持などで,そのほか貢租徴収,風俗取締りなど,一般の遠国奉行所なみの行政事務もあった。支配向(属吏)には,支配組頭,支配調役,支配調役並,支配定役元締,支配定役,支配同心肝煎,支配同心があり,さらにその下に神奈川奉行付上番,下番があった。支配向の大部分は横浜運上所に勤務した。68年5月16日(慶応4年4月24日)事実上廃職。
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百科事典マイペディア 「神奈川奉行」の意味・わかりやすい解説

神奈川奉行【かながわぶぎょう】

江戸幕府の遠国奉行の一。神奈川奉行所の長官。幕府は1858年安政五ヵ国条約締結で〈神奈川〉の開港を約した。しかし宿場に外国人が立ち入ることを嫌った幕府が,翌1859年実際に開港したのは東海道神奈川宿(現横浜市)の浦ではなく,横浜村(現同上)の浦であった。この横浜開港直後,外国奉行5名に神奈川奉行兼帯が命じられた。1860年以降は専任で,専任後は場所高2000石,役料1000俵。席次長崎奉行の上座。神奈川奉行役所は戸部村(現同上)と横浜港に置かれ,戸部役所では民政事務と外国人遊歩区域内取締ほか,開港場の横浜運上所では領事事務,出入港手続,関税徴収ほかを扱った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神奈川奉行」の意味・わかりやすい解説

神奈川奉行
かながわぶぎょう

江戸幕府の役職。幕末開港後、外国貿易の監督や外国人との交渉の任にあたるため設けられた。定員2~3人、2000石高、役料1000石、長崎奉行の上座とされた。幕府は1858年(安政5)五か国修好通商条約(米・英・蘭(らん)・露・仏)の締結により神奈川(後の横浜)を開港することとなり、翌59年外国奉行の水野忠徳(ただのり)、堀利煕(としひろ)、村垣範正(のりまさ)、酒井忠行(ただゆき)、加藤則著(のりあき)に神奈川奉行を兼務させた。青木町に会所を置き、戸部(とべ)村宮ヶ崎に奉行役所を、横浜村の中央に運上所(うんじょうしょ)(税関)を開いた。奉行5人のうち1、2人が交替出張して事務をみたが、60年(万延1)9月以降外国奉行の兼任をやめ、奉行職は専任となった。属僚に神奈川奉行支配組頭、同調役(しらべやく)、同定役(じょうやく)、同同心(どうしん)、同上番などがあった。

[加藤榮一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神奈川奉行」の意味・わかりやすい解説

神奈川奉行
かながわぶぎょう

江戸時代末期,外国との通商のため設置された幕府の職名。安政6 (1859) 年設置,おもな任務は神奈川における貿易および外交交渉にあった。当初は5人の外国奉行が兼務し,万延1 (60) 年以降,専任となる。定員は2~3人で,禄高は 2000石。

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